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観光学(42) 観光を読む

ロンドン五輪とソーシャルメディア
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三



ロンドン五輪
 多彩なドラマが展開されたロンドン五輪が無事に終了した。日本選手団は金7、銀14、銅17を獲得し、メダル総数38個は史上最多であった。その上にアーチェリー、重量挙げ、卓球、バドミントン、サッカーで女子が史上初のメダルを獲得した。男子もフェンシング団体で初メダルを獲得し、男子ボクシングで48年ぶりのメダル獲得、体操個人総合で28年ぶりの金メダル獲得など、様々な種目で大活躍があった。
 多様な種目で過去最多のメダルが獲得できたのは、国による選手支援の成果とみなされている。日本では昨年スポーツ振興法を全面改正して「スポーツ基本法」が制定された。この法律では、前文で「スポーツ立国の実現を目指し、国家戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進する」ことが明記され、スポーツ振興における国の責務が明確に位置づけられた。その結果、オリンピック選手の支援のために27億円が投入され、さっそく一定の効果が出たと評価されている。

ソーシャルメディア五輪
 今回のロンドン五輪はツイッターなどの交流サイト(SNS)で情報が瞬時に広がったために史上初の「ソーシャルメディア五輪」と呼ばれたりした。近年世界的にソーシャルメディアの利用者が急増しており、今や世界で10億人以上が使うといわれている。私自身はソーシャルメディアを一切使っていないので、もはや「希少生物」になりかかっている。
 ともあれ、ロンドン五輪組織委員会によると、開会式を見ながらフェイスブックやツイッターなどに投稿した人はピーク時で全世界の利用件数の19%を占めたらしい。ソーシャルメディアによって世界的に五輪体験が拡大し、感動が共有されたことは素晴らしいが、その一方で他人のプライバシーの暴露や誹謗中傷、人種差別的なつぶやき、選手による広告的なつぶやきなど、マナーや倫理に違反するような動きも生じた。そういう意味でソーシャルメディアは「両刃の剣」という面がある。

アップルとフェイスブック
 ロンドン五輪が終わって間もなく、ニューヨーク株式市場で米国アップル社の株式時価総額が
6,235億ドル(約49兆5千億円)になり、09年のマイクロソフト社の記録を上回り、世界の企業で歴代最高になった。市場ではスマートフォン(多機能携帯電話)のアイフォーンの新型機種やタブレット端末のアイパッドの小型版への期待が高まっている。世界的な景気の減速懸念が強まる中で、アップル社の圧倒的な製品競争力を武器にした高収益性を投資家が評価し、数少ない大型の成長株として世界のマネーがなだれ込んでいるようだ。
 今年5月に米国ナスダック市場に株式を上場した交流サイト(SNS)最大手のフェイスブック社は初値で約42ドルをつけ、時価総額で約9兆円を超える評価を受けた。されど8月に入って連日安値を更新しており、19ドルまで値下がりしている。
 いずれにしても、すでに世界的にICT(情報通信技術)分野で革命的変化が相次いで生じており、スポーツ領域だけでなく、観光領域においても今後大きな変化の発生が予測されている。私自身が希少生物なので、日本の観光領域においてガラパゴス化(希少生物化)現象の生じないことを祈るのみである。