小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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編集後記


 7月4日、演劇集団テアトロ浅草橋の主催により、「赤い運河 神様のいない祭り」が公演されました。運河保存運動の先駆けとなった故・藤森茂男氏をモデルとしたリアリティある内容でした。
 藤森氏が運動から遠ざかったころの昭和53年から保存運動に参加した私にとって、身につまされるものを感じました。
 藤森氏は看板業という商売をしながら運河保存運動に身を投じていました。日本の歴史に残る多くの商家には「政治に口だしするべからず」といった内容の家訓を掲げているものが少なくありません。当たり前のことです。ただし政治が民のためにしっかりしていればという前提があります。当時は高度経済成長の最終期だったにもかかわらず、この風に乗り遅れた小樽の焦りのせいか、画一的な道路計画優先となり、有幌地区の倉庫群を破壊し、運河を埋めて道路にという計画が進められていました。
 これに藤森氏は「ノー」と明確にいいました。商売人が政治に口出ししたのです。「便乗経済ではなく自立経済を」「文化なきところに経済なく、経済なきところに政治もない」ともいいたかったに違いないと感じます。
 焦って処方するより体内に抵抗力を身につける政治が存在すれば、政治に口出しする暇を惜しんで商人は商売に精進するものです。こういう信頼が小樽に根付けばと願わずにいられません。
  歴史文化研究所 副代表理事 編集人 石井 伸和