小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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地域資源活用ビジネス(4) 小樽独自のビジネスモデル

地方都市の視点
特定非営利活動法人 絵本・児童文学研究センター
〒047-0031
北海道小樽市色内1-15-13 大同ビル4F
TEL(0134)27-0513


第2回文化セミナー(写真左より谷川俊太郎氏・大江健三郎氏・河合 隼雄氏)
第2回文化セミナー(写真左より谷川俊太郎氏・大江健三郎氏・河合 隼雄氏)

講義風景
講義風景
契機
 工藤左千夫氏は20〜30歳代にかけて絵本や児童文学書などの営業に従事する中で、自ら研究していた絵本や児童文学に関する講座を販売促進として開設していました。その内容のおもしろさへの評判が伝わり、様々な地域から講座開講の依頼が舞い込んでくるようになります。
 工藤氏は1987(昭和62)年36歳で脱サラ、本格的な研究と新たな講座を企画し、1989(平成元)年に任意団体として絵本・児童文学研究センター(2002年NPO法人化)を設立しました。

考え方
 工藤氏は児童文化を「大人のための生涯学習」という位置づけでカリキュラムを考えると同時に「親が自らのために学び、そういう親の姿を見たり、影響を受けたりすることが教育の姿勢として大事」と、子どもへの押しつけではなく親の主体性ある教育方針を打ち立てます。
 そしてもう一つ、このような普遍的なテーマであれば、その拠点は東京や札幌という大都市である方が効率的と考えますが、あえて小樽としました。両親が小樽生まれの工藤氏は大学在学中に哲学に傾倒し、当時東大総長であった南原 繁氏の影響を受けて、中央を客観的にみることのできる地方都市、小樽に軸を据えます。

河合隼雄氏との出会い
このような考えでスタートして間もなく、工藤氏は深層心理学者の河合隼雄氏(2007年 逝去)に会う機会を得ます。教育の姿勢や講座のイメージ、そして中央ではなく小樽からの文化発信に関して河合氏も全く同じことを考えていたことを知り、まるで自分の分身がいたように感じてくれたといいます。
 「東京などの大都市にいると便利すぎて何でも手に入るという錯覚を持ち、情報が多すぎて麻痺して本質を見つめる目を失う」と河合氏は言われたそうです。
 この河合氏との出会いが、センターに大きな影響を与えます。

第4回文化セミナー要項 「家 族」  河合隼雄氏・谷川俊太郎 氏・山田太一氏 第13回文化セミナー要項 「みみをすます」  谷川俊太郎氏・養老孟司氏・中沢新一氏
第4回文化セミナー要項 「家 族」  河合隼雄氏・谷川俊太郎 氏・山田太一氏 第13回文化セミナー要項 「みみをすます」  谷川俊太郎氏・養老孟司氏・中沢新一氏
文化セミナー
 開設して3年目の1992(平成4)年、センター主催による第1回文化セミナーが小樽市民会館で満員の受講者によって開催されます。講演やパネルディスカッションでは河合隼雄、神沢利子、佐野洋子、たかし よいちという児童文学界ではそうそうたるメンバーを招き、第1回にして大成功をおさめました。受講者の圧倒的多数は札幌近郊からで、約1,000人が全道全国から集まったのです。
 この文化セミナーによって児童文学に興味のある人々が数多く潜在していることを確認できたばかりか、キャストのメジャー性から全国的に発信できたことにより、大きく波紋が広がっていきます。
 また結果的に絵本というファンタジーに触れるために小樽へ行くことが、「歴史とロマンあふれる観光都市」に変貌しつつあった小樽に合ってきました。

児童文学ファンタジー大賞授賞式
児童文学ファンタジー大賞授賞式
児童文学ファンタジー大賞
 1995(平成7)年には、第1回児童文学ファンタジー大賞が創設され、以後毎年第一級の児童文学研究者による選考作業が行われ、文化セミナーの際に発表されています。これも小樽発信の全国的な文学賞として認知され、多くの応募作品が集まっています。

小樽イメージ
 センターは小樽に立地して成功しています。事業内容や教育方針が新しいこと、NPO法人の領域に相応しいこと、売り買いの出会いを超えていること、工藤氏の経営手腕が優れていることがあげられますが、ロマン観光の小樽とファンタジー研究のセンターとのコラボレーションが相乗効果につながっていることは、地方立地ビジネスの重要な要因となり、いわゆる最適化されているといえます。「札幌や東京ならもっと大きくなったのに」だけでは割り切れない新たな価値を私たちに提案しているのではないでしょうか。