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観光学(7) 観光を読む

有給休暇完全取得への期待
北海道大学観光学高等研究センター 
 センター長・教授 石森 秀三



民主党政権の成立
 8月末の総選挙で民主党が308議席を獲得して、地滑り的な大勝利をおさめ、ついに政権交代が成就されました。麻生政権の下で八方塞がり状態で閉塞感に満ち満ちていた日本で、革命的な政権交代が生じたことは喜ばしい。
 民主党政権の誕生をきっかけにして、日本における観光をめぐる革命的変化をぜひとも期待したい。奇しくも、私は今から15年ほど前に「観光革命」という新しいコンセプトを独自に提唱しました。併せて、2010年代に第四次観光革命が生じることを予言しました。私はアジア諸国において観光をめぐる大爆発が生じることを予測しましたが、日本国内ではさほど大きな観光をめぐる変化は生じないだろうと思っていました。しかし、民主党政権の誕生によって、日本における観光革命が期待できるようになってきました。

鳩山内閣の観光政策
 日本における観光政策の主務官庁は国土交通省です。鳩山総理大臣は前原誠司議員を国土交通大臣に任命しました。前原大臣は就任記者会見で、次の六つの課題を表明しました。
@高速道路の段階的無料化を進めて、地域活性化や輸送コストの低廉化を図る。
A時代に合わない大型の国直轄公共事業の見直しを行うとともに、費用と効果について新たな基準で見 直しを行う。
B地域の魅力を活かし、地方公共団 体や住民が主役となった観光政策を支援するなど、観光立国の実現を総合的に推進する。
C災害対策や被災地の復旧に万全の対策を講じる。
D沖縄の魅力や特性を最大限に活かし、沖縄の自立と発展を支援する。
E北方領土問題の解決に努力する。

有給休暇完全取得法
 日本ではいま未曽有の経済危機や新型インフルエンザの影響で国内旅行と海外旅行が共に伸び悩んでいます。今こそ、観光庁は日本人の旅行需要の拡大に貢献する政策の立案に尽力すべきです。観光革命の実現のためにはさまざまな条件が満たされる必要があります。端的にいうならば、「可処分所得の増大」と「可処分時間の増大」が必要になります。
 可処分所得の増大を実現するためには日本経済が発展することが必要です。それに対して、可処分時間の増大は有給休暇の完全取得を促進することで解決できます。そのために観光庁は民主党政権に働きかけて、「有給休暇完全取得法(仮称)」の制定を提案し、有給休暇の完全取得を法的に義務付けることを実行すべきです。幸い、民主党は連合をはじめとする労働組合に支えられていますので、労働者の権利としての有給休暇の完全取得には前向きに取り組んでくれるはずです。

可処分時間の増大
 日本人の有給休暇取得率は、1992(平成4)年の約56%をピークにして、その後は下がり続け、2007(平成19)年には約47%になりました。日本人が年間に取得する有給休暇の日数は平均で8日です。欧州諸国では、フランス35日、スペイン27日、イタリア27日、ドイツ25日、オランダ24日、オーストリア24日、イギリス23日などです。
 欧米諸国の企業会計基準では有給休暇の未取得分は企業側の負債として計上され、社員への金銭での弁済義務が生じる仕組みになっています。日本にはない制度が欧米諸国における有給休暇取得率に大きな影響を与えています。欧米では企業側が社員に対して有給休暇の完全取得を強く奨励しているために、社員は連続休暇を取得して長期バカンスを楽しみ、家族の紐帯を強め、休暇地域に対して経済的・文化的に貢献する度合いが大きいのです。
 日本で有給休暇完全取得法(仮称)が制定されるとともに、有給休暇の未取得分に対して欧米並みの弁済システムが導入されるならば、旅行需要が一挙に高まることは確実です。観光庁は、今こそ民主党政権に強く働きかけて、有給休暇完全取得法(仮称)の制定に尽力すべきです。