小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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編集後記


 「龍馬伝」がNHK大河ドラマで放映されています。歴史上、坂本龍馬が吉田松陰に会ったかどうかはさておき、松陰がアメリカ渡航を願うために黒船に向けて小船を出そうとするのを桂小五郎と共に止めにいく状況が描かれていました。
 正確にセリフを復唱することはできませんが、松陰はこう言うのです。「目の前にあの黒船をつくったアメリカ人が来ているじゃないか。今、手を伸ばせば届くところにだよ。今の日本に大切なのはあの文明を手に入れるしかないことは明確だ。君たちは何故それを止めるのか。僕自身が幕府にとらえられようが、アメリカ人に拒否されようが、そしてその結果幕府に罰せられようが、そんなことは問題じゃないんだ。今の僕は、僕自身が確信する日本に最も大切な行為をしようとしている。僕は命なんか惜しくはないんだ。何一つ言い訳も持ち合わせていないんだ」といいます。この健気で愚直な一歩を、のちにペリーが「末恐ろしい日本人がいる」と日記に記していたという解説がはいります。そこに今度はそれを止めようとした龍馬も「私もお供させてください」ときます。涙がわき出て止まらない一コマでした。
 結果的に日本はこの愚直な一歩によって、松陰や龍馬のシナリオで後に続く者が近代化を推し進めます。黒船を怖いと感じたのは万人共通ですが、そこで身構えるか、あるいはその裏に潜む産業革命なる変革に魅力を覚えるか、どちらが現実的なのか、どちらが底上げにつながるのか、政治の大事な舵取りです。
 歴史文化研究所 副代表理事・編集人 石井 伸和