ブラケット
ブラケット(bracket)とは壁面の上部に取り付ける種類の照明器具。あまり大型のものはなく、補助照明として用いられることが多い。廊下や階段の照明としても用いられる。壁を照らす事により間接照明のような空間を演出する効果がある。なお、壁面下部に取り付ける照明器具はフットライトという。
ブラケットは西洋文化であるが、日本では行灯や提灯がその機能を果たしてきた。小樽は日本でも先駆けて近代化の街並みが生まれてきたこともあり、洋風建築が多いためブラケットを設置する建物は多い。歴史的建造物の属する建物の場合には設計者がこだわったデザインのブラケットを施している。
小樽の歴史的建造物研究の第一人者である駒木定正氏はこんな楽しい想像をされている。松田ビル(旧三井物産小樽支店)正面玄関のブラケットのデザインは、エンパイヤステートビルを思わせる。向かいには明治45年竣工のルネッサンス洋式の日銀、隣には同年竣工のネオルネッサンス洋式の北海道銀行に対抗すべく、昭和12年に竣工したこのビルはアールデコ洋式の時代で、当時最大の偉容を誇っていたのがエンパイヤステートビル(昭和6年竣工)。したがって設計者松井貴太郎はエンパイヤの最下層を建物の設計コンセプトにし、これが空に向かって伸びる最上階をブラケットデザインにしたのではという。小樽から世界の最先端が見えるようだ。
その他小樽では、新たに設置されたデザインの小樽的特長は昭和61年に整備された63基のガス燈をシンボライズしたものが多い。