自分流の小樽へ
横井 孝一郎 氏
ラーメン孝一郎 店主
〒047-0151 小樽市朝里3-6-19
TEL 0134-54-1252 携帯080-2047-0452
えっ!小樽っすか?
昭和59年札幌生まれの横井孝一郎氏は、中学から滝川へ移り滝川中学、そして定時制の滝川高校へ働きながら進学。その働き口が旭川を本拠とするらーめん山頭火滝川店だった。17歳で店長となり、以後、旭川・岩見沢・苫小牧・美唄店で修行。21歳、名古屋の先輩から声が掛かり名古屋のラーメン店で2年間修行。その出店で東京御徒町の昼はラーメン・夜はもつ鍋の店で2年半、その間、半年九州博多のラーメン店で修行。
25歳独立して札幌白石でラーメン居酒屋を開業し、夜6時から朝5時までの営業。気がつくと子宝にも恵まれ子供が4人、しかし子供と遊ぶ時間もなく、身体の不調も覚えたことから、心機一転。
「自分ができることで生計を立てられる場所を探しました。もちろん店舗兼住居の物件です。ある不動産業者から小樽の朝里の国道沿いの物件紹介があったのです。ラーメン屋として小樽は全くの想定外でした」
2011年27歳、国道に面していて車の交通量があるということのみで判断して家族6人で小樽朝里移住を決意したという。
小樽観
「小樽へは何度も遊びに来ていました。自分は海が好きで、横浜・神戸・函館にもよく行っていましたので、えっ小樽?と驚いたのは、多分、それまでの夜型の世界で平常心や客観性が埋もれていたのかもしれません。小樽で4年目に入った今では、小樽こそ自分の生きる場と思えるほどはまっています(笑)」
「小樽は高齢者が多いせいか新聞をお取りになっている率が高いのですね。そこで折り込みチラシで開店をPRしたところ、驚くほどのお客様が来てくれました。小樽の第一歩での好印象でした。以後、常連さんも定着し、一見さんもつながってくれています。もちろん家族とのふれあいも増えました」
若者ネットワーク
「自分は自分の中に潜在しているなにかに、いつも背中を押されています。ですからよく小樽の街場にでかけて、いろいろな方を紹介していただいて、自分の味、自分の個性、自分の表現などを磨く機会に恵まれています。そんな中で三十代の自分と同じ仲間が増えてきました。やらなきゃゼロだし、やってなんぼのもんだと思っています。金も智恵もありませんが、エネルギーだけは十分過ぎるほど持っています。自分は小樽にはまりましたが、小樽に多くの人たちをはめられる何かをつくりたいですね」
突然変異?隔世遺伝?
いまから30年以上前、小樽の若者は運河に燃えた。世界中の人々を運河に集めたいと思った。その運動は全国に共鳴し大いに小樽は人々の耳目を集めた。そして誰もが想像もしていなかった観光都市が築かれた。が、その後、観光進化の裏で、その火元は消えてはいないもののゆらぎ続けている。そして孝一郎氏を象徴とする若者達が今、「多くの人たちをはめられる小樽の何か」を創造しようと熱くなっている。突然変異でも隔世遺伝でも構わない。この火を応援し特等席で見守りたい。
麺壁九年
「麺壁九年」という言葉は孝一郎店内の額や名刺の裏にも刻まれている。「面壁九年」の「面」を「麺」にかけているが、この四文字熟語は禅宗の言葉で、禅宗の開祖達磨大師が9年間座禅をして悟りを開いた例えから、例えば9年を目途として、そのくらいの修行を経て一人前になるという戒めだ。
孝一郎氏のラーメン修行は16歳から27歳までの11年にも亘っている。
「自分流の味を創ったという意味では該当しますが、いつもこの精神を忘れず、まだまだ前に向かって様々な修行も怠らないようにと自分に言い聞かせるために理念として掲げています」