小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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編集後記

BGMとノイズ


 2014年の今日からおよそ50年前あたりから、音楽は日本の多くの若者にとって何よりも癒やしであり、何よりも聴くものであり、何よりもプレイするものであった。なぜなら電波媒体が国境を越えて行き交い、コンテンツを受信したり奏でたりできる安価な環境が整いつつあった時代にとって、音楽は実に新鮮なメロディとでメッセージ性を持っていたからだ。メロディに右脳が刺激され、メッセージに左脳が刺激され、同時にイマジネーションが湧き、クリエイティブな発想にまで導いてくれた。そして音楽を通してコミュニティが生まれ、音楽を通して人生や世界を知った。
 世代ごとに若者の嗜好は変化し多様化する。ファッション、ダンス、バイク、ツーリズム、そして今日ではデジタルゲームである。どの時代に何が流行ろうとそれは勝手だし問題ないが、音楽が今の若者にとってどういう存在かを知った。無論「誰の何という曲が好きだ」「HIPHOPのマニアだ」という過去同様の熱さも少しは残存しているが、多くの若者にとって音楽はBGMかノイズのどちらかだそうだ。ただでさえ価値観が多様化し、ただでさえ少子化しているから、まして音楽プレイヤーの分母たるやどれだけ減っているか計り知れない。

歴史文化研究所
副代表理事・編集人 石井 伸和