小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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地産(47) 後志でなにが生産されているの

ベリー
ファーム稲船
代表  稲船  裕二 氏


ラズベリー
ラズベリー

収穫したカリンズ
収穫したカリンズ
ベリーとは
 ベリーとは、イチゴ(ストロベリー)、ブルーベリー、ラズベリー、グーズベリー、ブラックベリー、クランベリー…など、多肉質の小果実の総称。イチゴやブルーベリーはよく見かける果実だが、それ以外は洋菓子の食材としてしかこれまで馴染みがなかった。昭和40年代までは小樽市内の野山にも野生のグーズベリーが実っていたのが記憶にある。甘酸っぱさとスイカのような模様を懐かしむ方もいるはず。
 最近はブームになっているシリアルの一種のグラノーラの中に、ドライフルーツとしてベリー類が入っていて、見たり食べたりする機会が増えてきている。

グーズベリー
グーズベリー
ファーム稲船
 余市町登地区。赤井川村方面への道を走っていくと、登小学校から左手の丘に入ってすぐに農園が右手に見えてくる。ここがファーム稲船。離農した果樹農園に手を入れ、奥様と二人だけで営んでいる。
 稲船さんは元々、札幌で会社員をしていたが、今から24年前、心機一転、奥さんとともに農家に転身した。余市町を選んだのは、ここに自然養鶏と農業を営む知人がいたからだった。
就農前には果樹以外の農業を目指していたが、元の農家の方が育てていた梨、りんご、サクランボの木があったので、とりあえず果樹からスタートすることになった。とはいうものの、農業は未経験。農業改良普及センターや知人に教わりながらの毎日だった。
 「絶対に果樹栽培だけはやりたくないと思ってスタートした農業だけど、24年間、果樹から抜け出せないでいるんです」と笑いながら稲船さんは言う。夫婦二人だけでスタートした果樹栽培は予想以上に手がかかり、未だに野菜栽培は出来ない状況だという。
 現在栽培している果樹はサクランボ、プラム、プルーン、桃、杏、洋ナシ、リンゴ。ベリー類ではレッドカランツ(カリンズ、クロゼイユ)、ブラックカーランツ(カシス)、ラズベリー、ボイソンベリー、グーズベリー、ブルーベリーなど。品種で数えると、かなりの数になる。

カリンズ
カリンズ
ベリー栽培
 ベリー類は元々、ジャムにして販売するために栽培を始めた。早来町の栽培をやめた人からわけてもらった100本程のカリンズから始まり、ブルーベリーやラズベリーなど順次増やしていった。収穫したベリーは友人知人たちが販路を紹介してくれ、徐々に広がっていった。中でも大阪の洋菓子店からは毎年生食用の注文が有り、ファーム稲船のベリー類で洋菓子のフェアを展開してくれているという。もう何年もの取引となり、新鮮なものを厳選して送っている。
 ベリーの農園を案内してもらう。緩やかな斜面に様々なベリーが実をつけ収穫を待っている。今年は6月から7月にかけて雨が異常に少なかったが、果樹などは元々水が少なくても育つ強い植物。反対に野菜は、水が絶対条件だという。今年も今のところ順調に生育し、たくさんの実をつけている。
 ベリーは農薬を散布しなくても大丈夫なため、ベリーの畑は下草を軽く刈っただけで自然の状態に任せているという。稲船さんの一番のこだわりは実を完熟させること。ベリー本来のおいしさを引き出すためには、収穫後に熟させるのではなく、完熟したものを収穫すること。そのため日持ちしない生食用の出荷には当初苦労したという。運送会社各社のチルド便を色々試し失敗を繰り返した結果、今はある会社のチルド便が一番鮮度を保持できることが分かり発送の心配はほぼなくなった。

カシス
カシス
ジャム作り
 ファーム稲船のジャムの特徴は、自家栽培の完熟ベリーと道産の砂糖のみで作ること。添加物を使っていないため、最初はベリー類の色を出すのに苦労したそうだ。しかしこれは根気よくアクをとることで解決した。もう一つの特徴はベリー類やサクランボなどをブレンドしたミックスジャム。ただ甘くておいしいジャムではなく、ベリーの酸味や性質を考慮し、大人が楽しめる味、個性を活かした味を目指して仕上げている。このベリー類の配合比率は味を知り尽くした稲船さんにしかできない。
 ジャム作りは収穫を終える秋口からが本番。手づくりのため、一度に大量に作れないが、それでも大人が一抱えもある大鍋で仕込む。さすがにこの大鍋は、奥様には持てないので、もっぱらアシスタントにまわるという。シーズン中に作れる量は140g入りのビンで約2,500〜3,000本。本州から大量に注文がくることもあるが、手づくりのため、すぐには対応できないのが悩みのたね。しかし、どこにもない味や個性を活かしていくには、手間ひまはかかるが、これからも手づくりがいいのかもしれない。

ファーム稲船
〒046-0002 余市郡余市町登町970
TEL&FAX 0135-23-5859
*ファーム稲船のベリーやジャム類は、余市町道の駅『スペースアップルよいち』内余市町生産者直売会、仁木町きのこ王国直売所で購入することができます。札幌駅北口の北海道どさんこプラザではサクランボミックスジャムのみ販売しています。小樽都通りふれあいプラザでは数種類のジャムを販売しています。
*季節や収穫状況により、販売していない場合があります。

こくわ
こくわ

杏