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観光学(28) 観光を読む

日本で最も美しい村
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三


中国の美しい村での客人歓迎風景(貴州省)
中国の美しい村での客人歓迎風景(貴州省)

ユネスコ世界遺産
 今年6月にパリで開催された国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の会議で、岩手県の「平泉」が世界文化遺産に、東京都の「小笠原諸島」が世界自然遺産に、登録されることが正式決定された。平泉は「浄土思想の表現」、小笠原諸島は「東洋のガラパゴス」と呼ばれる固有生物の多様性、が顕著な普遍的価値を有すると認定されたのは慶ばしいことだ。
 ユネスコの世界遺産はまさに「世界ブランド」としてマスメディアが大きく取り上げるために国民の関心も非常に高い。そのために920ぐらい登録されている世界遺産はほとんどすべてが超一流の観光地として世界中から観光客を引き寄せている。
「世界遺産」と比べるとほとんど社会的に知られていないが、「日本で最も美しい村」というスローガンのもとで重要な活動を行っている組織があるので紹介しておきたい。

赤井川村
赤井川村
「日本で最も美しい村」連合
 近年、日本では市町村合併が進み、小さくても素晴らしい地域資源を持つ村の存続や美しい景観の保護などが困難になっている。フランスでは1982年に64の村が連携して「フランスで最も美しい村」連合が組織されて成果を挙げている。
 日本でも2005年に北海道美瑛町の浜田哲町長の呼び掛けで、7町村が「日本で最も美しい村連合」を結成した。素晴らしい地域資源を持ちながら過疎にある地域が「日本で最も美しい村」を宣言することで自らの地域に誇りを持ち、住民による美しい地域づくりの展開で地域の活性化と自立を図り、生活の営みで作られてきた景観や環境を守るとともに、それらの活用によって付加価値を高め、地域資源の保護と地域経済の発展に寄与することを目的としている。
 失ったら二度と取り戻せない日本の農山村の景観や文化を守り、小さくても自らの町や村に誇りを持って自立し、将来にわたって美しい地域であり続けようとすることは極めて重要である。ところがユネスコの世界遺産ほどには社会的に認知されていないのは実に残念である。
 この連合には現在39町村・地域が加盟している。北海道では、美瑛町、赤井川村、標津町、鶴居村、京極町が加盟している。
 昨年10月には福島県の飯館村も加盟を果たしたが、福島第一原発事故による放射能汚染被害で全村が計画的避難区域の指定を受け、住民避難が行われている。「日本で最も美しい村」の一つが危機的状況に追い込まれているのは非常に残念である。
「人類共通の財産」としての世界遺産と同様に、「日本で最も美しい村」連合の活動も重要である。より多くの人々がこれらの活動に関心を高めるとともに、さまざまなかたちでサポートしていくことが大切だ。