小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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まちづくり学(4)

地域と大学(2)
小樽商科大学 商学部
社会情報学科 准教授
ビジネス創造センターフェロー 大津  晶


 前回は本学の地域活性化プロジェクト型講義である「マジプロ」の紹介とそのフィールドとしての小樽の潜在性について述べた。今度は逆の視点、つまり地域から見た大学との協働の意義について述べたいと思う。

「ウチ」と「ソト」をつなぐ架け橋としての大学
 小樽市は、札幌に隣接する位置関係ということもあり、札幌の高校を卒業した学生が新入生の6割程度を占めている。稀に市立大学や県立大学にあるような「地元枠」のご要望をお聞きすることがあるが、私はこの考え方に与しない。それは、本来大学とは18歳の若者を全国規模で(今後はもっとグローバルに)シャッフルする“装置"なのだと考えているからだ。つまり、毎年4月になると人口13万人余の小樽に、新たに高等教育を受ける資格を認められた500人超が“サブメンバー"として加わるということなのだ。小樽市の年間新生児出生数は750人前後だから、その3分2の人数が毎年新しい樽っ子になるわけだ。もちろんほぼ同数の22歳が小樽を巣立って行くから、正味の人口増にはあまり寄与しないが、都市規模の比率で見た人口の新陳代謝に大きく貢献しているという計算になる。

地域活動の触媒としての大学生
「マジプロ」は文字どおり地域の課題に取り組むプロジェクトだが、実はそれらの課題の中身やプロジェクトの成果と同等か、場合によってはそれ以上に、学生たちが小樽の街中で活動することそのものに大きな意義があると感じている。実は「マジプロ」を通じて改めて小樽の歴史を強く意識するようになったが、歴史のある都市はたしかに情緒深い一方で、同時に“しがらみ"や“タブー"の様なものが多かれ少なかれ存在する。最近は地域活性化のキーマンは「他所者、若者、馬鹿者」などと言われるが、地元のしがらみとは無縁の若い大学生たちには、自分たちから殻を破って活動することで地域を元気にする力が備わっているように思う。また往々にして地元の方々同士では「おとなの事情」で協働が難しいということもあるわけだが、マジプロを通じて発見したのは、そのようなときに「頑張っている商大生のため」と仰ってみなさまがほんの少しずつ優しくなる、という場面が決して珍しくないということだ。つまり学生たちは、地域の触媒となっていろいろな化学反応を起こすポテンシャルを持っているということなのだ。

地域と大学の持続的な協働のために
 私は、大学生が社会に出るまでの間に多様な価値観と社会性(もちろん深い教養も)を身に付けるには、なるべく親元を離れて4年間の超長期インターンシップ≠修めることが望ましいと考えている。
 たしかにそのような意味で札幌から小樽に通学する学生が多いことは残念なことかもしれない(しかし毎日千人近くが札幌と小樽の空気を循環させているとも言えると思うが)。しかしなによりも危機感を覚えるのは、現在本学に入学する新入生のうち95%以上が道内出身だということだ。これは、ときどきお話しさせていただく年配の卒業生からも強く指摘されるところであり、小樽で過ごす大学生活の豊かさを全国に強く発信するためのさまざまな工夫をはじめたところだ。

 さて、先月から2回にわたって紹介してきた地域と大学の協働の実例は、内容やそのアプローチこそ現代的な枠組みで行っているものだが、その本質的な精神は、むしろ数十年前にずっと豊かにこの地に根付いていたものだと思う。
 ちょうど百年前、この地に官立高等商業学校が開学するに至った経緯はあまりにも有名だが、もしかすると一世紀の時間を経てその関係が少しだけ当たり前になってしまったのかもしれない。「このごろは商大生が山から降りてきて元気だね!」と市民のみなさまから声をかけていただく度に、ふとそんなことを思う。