小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
bg_top

編集後記

夏に暑いのは当たり前です


「暑いですね」という季節、「本当に北海道では珍しいですね」「もうじきの辛抱ですね」などという会話が交わされる。
 日本史上稀な人材として、幕末、長州藩や官軍の軍師として卓抜した才能を開き、日本陸軍の創始者となった大村益次郎は、「暑いですね」と声をかけられると「夏に暑いのは当たり前です」とにべもなかったという。返答された側からすると「なんとそっけない」と思われた。必要なことを必要な分だけという合理主義を徹底した考え方を持ち、社交や虚礼を不要とした。
 およそ意味のなさそうな挨拶にも情緒的意味があるし、会話のマナーとしてもこれでは敵をつくりやすい。が、本人に奇をてらう意識もない。ゆえに挨拶というディティールに至るまで純粋に考えた結果だったといえるし、大局を誰よりも客観的に見えていたからこそ、ディティールを排除したともいえる。
 まるで彗星のようにこの世に現れ、維新回天の画竜点睛を記した。
 暑くなるとなぜか彼を思う。

歴史文化研究所
 副代表理事・編集人 石井 伸和