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観光学(30) 観光を読む

観光甲子園と人財育成
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三



観光甲子園
 夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)は西東京代表の日大三校が優勝し、青森代表の光星学院高校は準優勝に終わった。「甲子園」というとすぐに高校野球が連想されるが、すでに「様々な甲子園」が存在している。
 例えば、まんが甲子園、ファッション甲子園、アニメ甲子園、写真甲子園、パソコン甲子園、ブラバン甲子園、エコ甲子園、書道甲子園、映画甲子園など、「様々な甲子園」が企画され、全国の高校生が競い合っている。
 遅ればせに3年前から「観光甲子園」がスタートしている。正式名称は「全国高校生観光プランコンテスト」、愛称は「観光甲子園」。全国の高校生がそれぞれの地域の魅力を再発見して、地域振興のために「観光プラン」を競い合うコンテストであり、地域に対する誇りの醸成や観光をとおしての地域貢献などが期待されている。

富良野緑峰高校が優勝
 今年開催された「第3回観光甲子園」には全国から72校(134の観光プラン)の参加があった。予選を経て、10校が本選に出場し、8月21日に神戸夙川学院大学(観光甲子園の事務局)でプレゼンテーションが行われた。
 厳正な審査の結果、グランプリ文部科学大臣賞は北海道立富良野緑峰高校「へそのまちがええじゃないか!:ふらの人になるSUMMER & WINTER Wツアー」に決まった。従来型の富良野観光を超えて、長期滞在型観光の延長線上にある「移住」に焦点を当てた観光プランだ。富良野観光経験者の20〜40歳代をターゲットにして、富良野は好きだけど、もう一歩踏み込んで富良野のことを知りたい夫婦・家族のニーズに応える観光プランである。富良野市は「農村観光都市」を標榜しており、様々な定住促進事業を行っている。高校生たちは民と官の連携を視野に入れてプランを練り上げており、新しい観光のかたちを創りだそうとしている点が評価された。
 グランプリ観光庁長官賞は広島県立油木高校の「花咲く神石高原町・ミツバチの里夢プラン」、準グランプリを受賞した3校は、茨城県私立清真学園高校「五行思想でめぐる体験型エコツアー:環境問題を読み解く修学旅行」、佐賀県立嬉野高校「URESHINO CHARGE(嬉野茶〜磁)Vol.2:田舎UDツアーで心も体もうれし〜の〜♪」、山形県立鶴岡中央高校「脱・ありきたりの旅:6つのターで庄内再発見!」であった。
 私は観光甲子園の大会組織委員長と審査委員長を務めているが、高校生が真剣に地域と向き合って若い感性にもとづいて、地域の発展のために様々な観光プランを練り上げてくれていることに毎回深い感動を得ている。観光立国を成功させるためには若い世代が観光に人生をかけることのできる諸条件を整えねばならない。若い世代が振り向かないような分野には未来がない。そういう意味で、人財育成こそが観光立国の生命線であり、観光甲子園の更なる盛り上がりに期待したい。