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観光学(33) 観光を読む

民産官学の協働による地域観光振興
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三



停滞・低迷する地域観光
 日本観光が停滞・低迷している。東日本大震災や原発事故に伴う放射能汚染の影響も大きいが、日本観光の停滞・低迷の原因は多重的かつ構造的である。日本の観光システムのイノベーション(革新)を推進しないと停滞・低迷からの脱出はあり得ないだろう。
 私は今年11月に北海道弟子屈町を訪れる機会があった。弟子屈町は摩周湖や川湯温泉などの観光資源に恵まれているが、観光を取り巻く状況は厳しい。観光入込客は2003年に100万人だったが、2010年には74万人に減少し、宿泊客も2003年に47万人だったが、2010年には27万人に減少している。リピート率や連泊率の低さに象徴されるように、地域資源が十分に活かされていない点が問題視されてきた。
 そういう状況を踏まえて、2008年に観光を基軸にした地域再生を図るために「てしかがえこまち推進協議会」が設立されて、摩周湖観光協会だけでなく、商工会、農協、自治会連合会などの協働を前提にして、環境・温泉部会、人財育成部会、エコツーリズム推進部会、女性部会など八つの専門部会を中心にしてさまざまな事業が展開されている。また2009年には「株式会社ツーリズムてしかが」が設立され、弟子屈町ならではの旅行商品を地元から発信できる旅行業者として地域の発展への貢献が意図されている。
 さらに『ミシュラン・グリーンジャポン』で知床国立公園と摩周湖と阿寒湖が「3つ星」掲載されたことを契機にして、ひがし北海道観光事業開発協議会が中心になって、「ひがし北海道 3つ星街道」プロモーションも展開されつつある。

てしかが観光塾
 地域観光の振興を図るためには「民産官学の協働」が不可欠だが、弟子屈町では「てしかが観光塾」が毎年開催されている。塾長は徳永哲雄・弟子屈町長で、副塾長は観光カリスマの山田桂一郎氏。山田氏は今年十月に『日経ビジネス』誌が選定した「次代を創る100人」の1人に選ばれており、日本の地域観光をより良くするために東奔西走している逸材である。
 この観光塾は今回が4回目で、「てしかがから観光の未来を拓く」というテーマのもと、着地型観光と地域づくり、地域経営のことなどが講義され議論された。今回は、和歌山大学観光学部の出口竜也教授、竹林浩志准教授のほかに、北海道運輸局の井上健二・企画観光部長、日本政策投資銀行の藻谷浩介参事役などが講師を務めた。私も「北海道観光の未来を拓く人づくり」と題する講演を行った。
 地域観光を軌道に乗せていくためには、歳月をかけて民産官学の協働で自律的に地域資源の持続可能な活用を図ることが必要になる。まさに「ローマは一日にして成らず」ということが地域観光振興にも当てはまる。弟子屈町が現在進めている地道な努力の積み重ねは必ず将来に豊かな実りをもたらすはずである。