小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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意匠(24)

半纏


半纏
 半纏は日本の仕事着として派生した。漁師の大漁半纏、火消しの刺子半纏、籠かきの陸尺半纏など職業によって仕様や模様が異なる。
 前を留めるわけでもなく、袖も広いので、なにかにひっかかりそうだが、着物文化から派生したので機能重視で考案されたと百科事典には記されている。ミソは背に縫い込まれた「印」で「我ここにあり」とする意識の控え目な投影が強く、「粋」の文化といえるだろう。


 古来、印は誰でも自由に掲げてきた。士農工商はもとより、遊興・任侠・芸能もそれぞれの印を掲げた。デザインに○は丸く収める、□は真面目、┓は堅実、―は一番などを想像させるように、考案する者の理想がうかがえる。

小樽の印半纏
 小樽にも多くの印半纏が残っている。漁師や商人が多いのは鰊で栄え商いで発展したという歴史を物語っている。忍路鰊場の会の演舞では、最後の場面で十人ほどの演舞者が一斉に背を向け、それぞれの印半纏を披露する場面がある。会場から「おー」という歓声が沸く。魂の声といわれる「きやり」演舞の後だから、その「粋な鯔背」への感銘もひとしおだ。
 また商人も印半纏を常用した。落語に登場する商人には欠かせない風情である。
 いつしか背広や作業服が普通になり、それを着用しなければあたかも失礼だという考えの方までいるが、印半纏は日本固有の文化である。違いを超えたグローバル時代だからこそ、違いが大事な価値になる。

<写真:秋野治郎氏所蔵の印半纏>