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地産(20) 後志でなにが生産されているの

蕎麦(そば)
アオキアグリシステム(有)
代表取締役 青木 一廣 氏



開拓農家の四代目、116年の歴史
 明治29(1896)年、初代の青木幸作氏は現在の新潟市より同郷の稲村道三郎氏を頼りに現在地に入植。ヤチダモの生い茂る原野を開墾し、農地を広げ作物を栽培していった。現在も農場の近くには「青木の沢」と呼ばれる沢が流れているが、この名は、初代青木幸作氏の農場に流れ出ることから名付けられたという。
 大正に入り、第一次世界大戦が始まるとデンプンの価格が高騰し、倶知安ではジャガイモの栽培が広がると同時にデンプン工場が増え、原料のジャガイモを確保するため、奔走したという。当時、倶知安町内には50軒近くのデンプン工場があった。二代目、青木茂氏は昭和に入り、水力でのデンプン製造を始める。昭和46年、家業を引き継いだ三代目、青木安夫氏は「青木澱粉工場」として法人化し、その後「(有)青木農産」に改名した。
 四代目となる青木一廣さんは29歳の時、三代目より農場経営を引き継ぎ、平成7年には(有)青木農産の代表、平成13年には農業生産法人アオキアグリシステム拒纒\となり今日に至っている。約50‌haの農場の内、約6割を蕎麦、他にジャガイモ、小麦、大豆を栽培している。

蕎麦栽培への取り組み
 倶知安町はジャガイモ栽培では有数の生産地。その中で、なぜ蕎麦栽培に取り組むようになったのか。ジャガイモ栽培に比べ労働生産性は高いが価格、収穫量が不安定でよくない作物。しかし青木さんには、この地に四代続く農家として理想とする農業の姿があった。この地でしっかり作物を育て、それを消費者においしく食べていただくことで倶知安という土地の良さを知ってもらいたい。それを実証するには、自分の大好物である蕎麦を美味しく作ることだった。
 青木さんが栽培する蕎麦の品種は、香りが良く甘い、希少品種と呼ばれる「牡丹そば」。道内での栽培は「キタワセソバ」が主流。それは「牡丹そば」は一般的に風に弱く、収量が少ないという理由からだ。しかし、青木さんは農家の都合で栽培するのではなく、消費者に美味しいものを届けることを優先させる。この2品種を従業員と共に食べ比べ、「牡丹そば」に決めた。また収量は土の管理、風対策は種を蒔く時期をずらすなど、独自の方法でクリアしていった。

蕎麦の6次産業化
 ある時、生産農家として疑問を持つようになる。それは生産者の声、消費者の声がお互いに聞こえない。これを解決するには消費者と交流できる仕組みを作らなければならないと考えるようになった。それが自分で生産した作物を自分で加工し、販売していく、いわゆる農家の6次産業化だった。生産から販売まで手掛けることで生産者のこだわりを伝え、消費者のニーズを直接捉える。しかも1杯の蕎麦としてお客様に提供することにより、生産農家として蕎麦を出荷するより40倍もの付加価値になる。この発想に行きついたのは、農業が今後国際的な競争が激しくなると予想されることも大きく影響したといえる。

羊蹄山の湧水
羊蹄山の湧水
農業観光
 平成13年、羊蹄山が見える農場の一角に「農家のそばや 羊蹄山」をオープンさせる。生産者が加工し、直接お客様へ提供する店だ。オープンにあたっては、店づくりや差別化した蕎麦にこだわった。普通の蕎麦店オープンでは、単に他店との競合になるからだ。誰もが美味しく食べていただくために店内は完全禁煙、誰もが入りやすいバリアフリー、完全無農薬栽培「牡丹そば」の味を堪能していただくため、割高ではあるが蕎麦粉十割の麺、敷地内から湧き出る羊蹄山の湧水など。これらにいち早く反応したのは本州のお客様だった。生産された土地の中で、湧水で打ったこだわりの蕎麦を求め、今では年間3万人前後が訪れる店となった。いわゆる「観光農業」という言い方があるが、青木さんは「農業観光」にこだわる。農業に軸足を置き、本質を追及した上で観光という外貨を獲得している。もし観光に軸足を置いていたら十割蕎麦はここまで評価されなかっただろう。
「農家のそばや 羊蹄山」は今年の4月20日発行「ミシュランガイド北海道2012特別版」のビブグルマンに認定され掲載されている。これまでの努力が実り、美味しさが証明された。また、同じ敷地内の「ファームレストランじゃが太」では完熟させてから収穫し雪室で貯蔵して甘さを増したジャガイモのコロッケが有名。これも自家栽培のジャガイモだ。

ミシュランガイド北海道
ミシュランガイド北海道
これから
 青木さんは言う。「店を大きくしたり各地に出店したりということはない。蕎麦の生産量は自分の手が行き届く範囲まで。また、ここの水とこの景色で食べてこそ、この店の味であって他の町で出店しても、ここでの味にはならない。それよりも今度は自分で生産した小麦を使って製品を作れないかと模索している。例えばパンとか…。」青木さんのアイデアは尽きない。

農家のそばや 羊蹄山(アオキアグリシステム(有))
〒044-0075 虻田郡倶知安町字富士見312番地
TEL 0136-23-2308 FAX 0136-22-3177
http://www.youteizan.com
E-mail:support@youteizan.com
営業時間:11時〜15時30分(冬期間平日は14時30分迄)*麺がなくなり次第閉店となります。
定休日:毎週水曜日
*倶知安町国道5号線ニセコ方面、ケーズデンキ左折、道道478号線沿い
*そばの購入は「農家のそばや羊蹄山」売店、道の駅ニセコ、郷の駅ホッときもべつ、小樽駅構内タルシェ、札幌市丸井今井きたキッチン、ホームページからも購入できます。