小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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編集後記

誤解


 かつて電話が誕生したとき、「声という目に見えないものまで届くのだから息子が欲しがる運動靴を」と電線に運動靴をしばりつけた母がいた。
 FAXが世に出たとき、「このホテルのFAX故障しているわ。何度送っても紙が戻ってくるの」とクレームをホテルの支配人に訴えた主婦もいた。
 携帯電話が出回ったとき、プールサイドでくつろいでいた親分に、「親分お電話が入っています」と自分の携帯電話を渡され、「なんやお前か、それにしてもワイのいるところがヨー分かったな」と応じた親分もいた。
 現在、携帯電話で「わるいけど石井の電話番号教えて」といわれて、「それならこの携帯に登録されているから一回電話を切って調べてから電話する」ということが笑い話になりつつある。
 これらの笑い話のその果てに、今後、大方の媒体がデジタル化していくだろう。携帯やタブレットという末端機器を個人が保有し、新聞もテレビもラジオも雑誌も一定の購入費を支払えば、クラウド(外部サーバー)にアクセスして、そのデータベースを検索することができるようになるとしよう。ならば個人情報以外の大方の情報は、常時端末から得ることができる時代になる。
 たとえば、10人並んでいる最初の者にある情報を伝えれば、順次伝えて10人目が認識する情報が如何に誤解極まりないものになるかは実験済みだが、新たなデジタル環境はこの口伝につきものの誤解を防止するために一つの情報源に誰もがアクセスできることになる。
 誤解防止のための技術進化ではあるが、笑いごとは置き去りにされていく。

 歴史文化研究所
  副代表理事・編集人 石井 伸和