小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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帰化人(34) 小樽こだわりのライフスタイル

自然との共生・そのライフスタイル
山本 亜生 氏
小樽市総合博物館運河館 学芸員
〒047-0031 小樽市色内2-1-20
TEL 0134-22-1258 FAX 0134-22-2350



帰化経緯
 山本亜生氏は昭和47年に現洞爺湖町で生まれ、父君が教員をしていたため、転勤もあり、小中高は函館で過ごした。平成3年に北海道大学農学部農業生物学科に入学し、「昆虫体系学」を学び、同大大学院農学研究科で「昆虫学」を研究。平成9年、卒業と同時に、小樽の博物館におられた先輩が移動になり、空席ができたことから、小樽市の自然史系学芸員として小樽に着任する。

研究者の立場から
「僕は自然の中でも昆虫の専門でしたが、実際に学芸員として任務に携わっていくと、昆虫は自然の中にはもちろんですが、人間が暮らす社会の中にも生きており、昆虫以外の自然も多岐に亘って人間生活と関わっている現実を目の当たりにして、総合的な視点が大切であることを実感しました」と謙虚に語られる。
「僕の任務は小樽の自然研究ということになり、そういった総合的な視点がますます重要になっています。たとえば一般の視点からいうと、小樽は海と山の地域で平地がなく坂が多いから開発も暮らしも難儀だとなりますが、自然を研究する視点からは、海と山が接しており、立体性に優れており、したがって狭い範囲でも多様な生態系を観察することができるということになります」
 なるほど、人間は自然の恩恵なくして生きてはいけないのに、自然を支配することを画策したり、自然を無視する考えを持ったりする、実に傲慢な生き物である。ヒューマニズムという言葉は人間界で通じるが、自然に向かって言えた義理ではない。
「特に現代は小樽ばかりではなく、多くの地域で、取り返しようのない自然破壊が起きつつあり、自然の許容範囲を超え、あるいは自然の自己浄化の範囲を超える現象が多発しています。逆に人間が手を加えなければ消えてしまう自然もあります。いずれにしても人間の考え方で間違いを最小限に防ぐこともできます。自然崇拝や人間崇拝に偏るより、共生である方がリアリティがありますよね」
 総合的視点とリアリズムの接点が共生という考えに帰結されている。歴史だけを研究していては開眼できない大事な視点だ。

小樽の自然を楽しむライフスタイル
「小樽は海と山に囲まれて人間の歴史が編まれてきました。歴史は確かにユニークな性格に彩られていますが、自然も実におもしろいのです。市街地からほんの少し出るとおもしろい自然に出会うことがしばしばです。僕は街を歩いていて小径があると、その先にどんな自然があるのだろうとワクワクすることがしばしばあります。たとえば手宮線沿線にだって学ぶべき自然はあるんです。また街からわずかしか離れていないのに人跡未踏の海岸もあります。この身近性は小樽の大きな特徴ですね。船でなければ行けない、船でさえも行けない秘境もたくさんあるんです」まるで小樽は自然の宝の山に感じさせてくれる夢のある話を聞かせてくれる。

侵略的外来種・絶滅危惧種
「例えばブラックバスという魚は他の魚を食べ。ウチダザリガニは他のニホンザリガニなどを食べてしまいます。こういう自然体系を崩す生物や植物を侵略的外来種といっています」ああ、人間にもそういう存在があるなと感じ、「またオショロソウは海岸にしかない植物で小樽の特長でもあります。ムカシトンボなども山間の川辺にはよく見かけました。ヒグマやトドなども同じく絶滅危惧種といわれ、あるいはその予備軍(留意種)といわれています」これもまた人間に例えるといくつかの顔が浮かぶような話だ。即ち、自然の中の一つである人間も自然と同様の遺伝子を持つのだと思えてくる。

感想
 小樽は歴史もおもしろいが、自然も研究するには宝の山であり、いや、あえて研究という固い志向でとらえるより、多様な自然と暮らせるライフスタイルがいくらでも確立できる豊かさを持っているといった方がいいだろう。
 私たち現代人は複雑な政治や経済や、日進月歩の科学技術の進化の中で、土台となる自然をないがしろにしてきたことは間違いない。山本氏の指摘は遠慮がちではあるが、いま最も大事な考え方ではないか。