小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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文化素材(10)

中小企業




素材を活かす
 過去8回に亘り小樽の磨けば光る文化素材について既述してきた。今号では、誰がその文化素材を活かす主役なのかを考えてみる。なかでも中小企業への見方が大きく変化してきたことから、中小企業が地域文化を活かす主体として仮定してみたい。

経済史から
 人馬が機械に替わる産業革命後、世界の経済は近代化路線へ邁進し、日本も明治に殖産興業という旗を掲げて近代産業の移植を急いだ。その技術やノウハウの対象は先進国の欧米であり、外国を相手に貿易から産業構造を改革していく使命を負った。まして素材も燃料も乏しいという事実から、資金力のある大企業を国が支援する経済政策を掲げ、その成功に基づいて全国の中小企業が外需の支援や内需に対応してきた。その過程において奇跡的な高度経済成長をアジアで先駆的に成功させ、その結果、日本の企業数の99.7%は中小企業(約420万社)、従業員数の69.4%は中小企業、中小企業の87%は小規模企業(366万社)という断面が形成される。
 ところがここへきて、経済のグローバル化の波が押し寄せ、すでにグローバル化を推進してきた大企業は、文字通り多国籍企業路線に拡大しなければ生命を維持できなくなっている。ということは大企業の発展イコール国益には比例しなくなったことを意味する。多国籍に税金を納めなければならないからだ。ましてグローバル化に失敗する事例も増え、何千人何万人ものリストラを余儀なくされる大企業も増加し、その受け皿を中小企業が担っている事実も明白になってきた。
 したがって経済産業省も「これからの経済や社会の主役は中小企業」だといってはばからない時代に変化してきた。
<経済産業省中小企業庁『中小企業憲章』>

期待される中小企業
 このように中小企業は期待される存在として世の客観的視点が大きく変化してきた。しかし経済産業省も自治体も中小企業振興のための経済政策を掲げられずに、政治のゴタゴタの中で蠢いている。
 さて当の中小企業はどうであろう。「景気が悪くて」「人口が減って」などという言い訳が未だ消えず、他人に責任を押しつける依存体質から抜け出せないでいる。つまり主役が主役の意識を全く持っていない。社長は会社の主役ではあっても社会の主役などとは無縁で無頓着な御仁が多い。
 たとえば噂の日本維新の会が政治のリーダーシップを握り、中央集権から地方主権へ強引に変革させることができたにせよ、地域経済の主役である中小企業がこのままでいいはずがない。政治より先んじて地域経済を考えなくてはならないのが今日の中小企業ではないか。

主役の義務
 利己のためにいくら活躍しても社会は誰もそれを主役とは認めない。利己を自社とすれば少なくとも会社の主役ではあるが、ここでいう主役の舞台は社会である。
 そこで小樽という社会についてだ。今日の小樽経済の牽引は観光だ。この観光は妙な産業で、数字の内容の多くは文化を対象に換金されている。出かけて商う商業で発展した小樽の遺伝子には「文化で飯が食えるか」と豪語する御仁も実に多い。しかし「文化を食い物にするのが観光」ともいえる。待って商う観光は文化の錬金術の大事な方法なのだ。いくら大きく換金されても文化が失われる訳でもない。だから妙だと言った。エネルギーが自然エネルギーにシフトするのもそれが無限でありリスクが見あたらないからであるのと同様に、文化も無限の可能性を持ち、リスクを感じさせない。
 ただ文化を食い物にするルールとして、文化には質の違いはあっても上下はないという認識が大事だ。
 だから地域の中小企業は地域の文化の生産と販売に視点を移す時代だと思える。そういう経済構造ができると、地域同士の文化の取引価値も楽しくなる。いくら取引されても文化の資源が尽きることはない。