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観光学(44) 観光を読む

北海道と関西の親密な関係
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三




関西との疎遠な関係
 私は神戸生まれの神戸育ちで、生粋の「神戸っ子」だ。2006年に北大に招かれて北海道に来たときにはすでに60歳だった。クラーク先生は「青年よ、大志を抱け!」と言ったが、私自身は「老年よ、大志を抱け!」という心境で、北の大地に引き寄せられてきた。
 2006年に北大に観光学高等研究センターを創設し、07年に大学院観光創造専攻を新設した。06年には私一人で研究センターを立ち上げたが、現在では18人のスタッフを擁する研究機関に発展し、大学院の方も約50人の院生が博士課程と修士課程で「観光創造」を学んでくれている。まさに日本における観光学の高等研究・教育拠点として発展している。
 札幌で暮らしだしてから半年ぐらいが過ぎた頃に、北海道暮らし20年以上という関西出身者に会う機会があった。関西弁で親しく話しているうちに、彼は突然に「道産子の人たちはけっこう関西人が嫌いなんですよね!」と言い出した。私はすでに北海道が大好きになっていたし、フレンドリーな道産子の人たちのことも大好きになっていたので、容易には信じられない発言だったが、その後もなんとなく心に引っかかっている。
 そのことはともかくとして、たしかに北海道と関西の関係は疎遠な面があった。関西からみると、北海道は「非常に遠い」と感じることが多いし、事実これまでは関西から北海道に来るのに飛行機代が非常に高かった。ところが、その疎遠な北海道と関西の関係が大きく変わろうとしている。

LCC拠点としての関空
 10月28日に関西国際空港に日本初のLCC(格安航空会社)専用ターミナルがオープンした。LCCは低価格を維持するためにコストを切り詰めている。そのために飛行場に駐機する時間もできるだけ切り詰めて、稼働率を高めており、空港も高い機能性を有する必要がある。その結果、関空はLCC専用ターミナルを新設して高稼働率を支える空港施設を整備したわけである。
 関空は日本初の完全24時間営業の空港であり、国際線と国内線が共に乗り入れている。関空がLCC専用ターミナルを整備したことによって、LCC拠点として発展することが期待されている。事実、LCCのピーチ・アビエーション(APJ)やジェットスター・ジャパンなどは関空を拠点にして運営を行っている。
 APJは関空LCCターミナル開業記念セールで、関空―新千歳線片道2,970円を売りだしている。APJだけでなく、ジェットスターやスカイマークも関空―新千歳の低価格化で競っており、JALやANAも価格を下げている。その結果、LCCを利用して北海道を訪れる人が増え始めており、若い世代は金曜日の夜に北海道に来て、二泊した後に日曜日の夜に関西に戻る旅行を楽しみ始めている。
 関西人の一人として、北海道と関西の関係が親密さを増すことは非常に嬉しいことだ。北海道経済は低迷を続けているので、LCCによって観光分野の需要が高まり、北海道の各地で活力が高まることを期待している。
 しかしLCCは両刃の刃でもあり、北海道にだけ人を運んで来てくれるわけではない。例えば、関空拠点のジェットスターはマニラ行き片道8,000円、台北行き片道7,000円なども売り出している。観光大競争時代に克つためには北海道の地域の人々の厳しい自覚が求められている。