小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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比較論(32)

京都と小樽2


京都あじき路地
京都あじき路地

歴史的建造物
 歴史的建造物なるものには、世界遺産、国法、重要文化財、都道府県指定、市町村指定などの評価区分、中世、近世、近代などの時代区分、神社、寺院、城、民家、学校、銀行、官公庁、駅舎、灯台などの仕様区分で分類される。

歴史的建造物の比較
 京都市の世界遺産15、国宝39、重要文化財192、府指定歴史的建造物103、市指定歴史的建造物44に対し小樽市では世界遺産・国法0、重要文化財2、道指定歴史的建造物1、市指定歴史的建造物77と実に比較にはならない。唯一市指定歴史的建造物が京都44に対し、小樽77で小樽が多いように見える。しかし実際は、小樽市指定歴史的建造物レベルの歴史的建造物を京都で数えるなら、桁違いに京都が多い。
 だからレベルや物件数の比較は意味がない。さらに世界的視点に立つと、ヨーロッパと日本ではこれまた比較にはならないから、京都もワンオブゼムとなる。

比較すべき点
 比較すべきはレベルや数ではなく、地域にとっての大事さについてである。京都は平安時代から日本の都であったから、年代の幅は広く、都故に資本の集積もあったからレベルや数も多いのは当然であるが、多すぎて大事さの見当もつかないのに対し、小樽はほんの一部を除いて近代に限られ年代幅は狭く、北海道開拓時にのみ資本が集中したに過ぎない。だからレベルや数も少ないから、大事さが浮き彫りになる。
 早い話、多いから貴重さに欠け、少ないから貴重さが増すともいえる。この分かれ目が以下の大事な仕方に通じる。

活かす
 対象が多いと放置されるものが多いが、少ないと活かされるものが多い、そういう違いに発展する。この違いこそ誇りにすべきだろう。これも早い話、歴史は誇りにできないが、歴史を活かすことは誇りにできる、つまり歴史は君が代が創ったものではなく、歴史を活かしているのは君が代なのだといえ、君が代の今活きている我々も含まれるからだ。
 この「活かす」ことを「再活用」「再利用」「再生」などと表現しているが、そもそも観光などとは誰一人想像もしていなかった小樽で、奇跡的に起きた観光の牽引役となり主役となったのは、歴史的建造物の再利用の群で、これを「小樽モデル」と称している。無論こういうモデルは、小樽固有ではないが、「群れ」を成したことを以て地域的固有性の冠を拝している。
 事実、小樽の運河沿いや堺町が観光スポットとなっているのは、再利用された施設が多いことが証拠だ。

京都の再利用
 だからといって同じ近代の歴史的建造物の再利用が、京都では少ない訳でもない。旧日本銀行京都支店はユニークなショップがテナントとして入り、銀行や社屋であったものがギャラリー・ショップ・レストラン・カフェなどに再利用されている例も少なくはない。しかしそれらは、何百年も寺院であり続け、今も寺院であるその権威の前では、実に目立たない存在になっているに過ぎない。
 また小樽の場合、倉庫でも蔵でも老朽化した店舗でも、戦前に建てられ、わずかでも歴史的意匠が残されている物件は再利用の対象とされるが、京都でそんな物件を探すと山ほどある。
 極端な言い方をすると「小樽人が歴史的建造物を利用したあとはペンペン草も生えない」といえるほど、貴重で大事な文化習性にまで発展している。

大事さの展望
 この小樽市民の「歴史的建造物は大事だ」という意識が「多様な再利用」を生み、「小樽モデル」という群れを成し、今後居住空間利用など、さらなるモデルが生まれるであろう展望を持てることは喜ばしい。