小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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COLUMN

シェアハウス
編集人 石井 伸和


現在の環境
 経済成長が無限でないことをこの国は確信し始めている。だから今は金で換えられる価値には目途を付け、自分らしさが滲む固有のライフスタイルを持つに相応しい時代ではないかと考えている。

シェアハウス〜生活費からの視点〜
 ここにシェハウスなるものが浮上する。旅行スパンには数日滞在ならホテル、数週間までならコンドミニアム、数ヶ月までならシェアハウスという段階がいつの間にかできていた。そしてこのシェアハウスは気に入ったら住もうという永住動機を持つ。つまり旅か永住かのターニングポイントにもシェアハウスは位置づけられる。
「えっそんな悠長な旅行で仕事は?」と思うだろう。これまでの常識では理解できない宿泊形態で、仕事を持っていれば数ヶ月の休暇など考えられないからだ。そこで対象はまずは退職世代が挙げられる。介護を必要としない期間、悠々自適な生活をおくり、住みたい地域を転々とするにはシェアハウスは適している。また時代はi-Padなどのモバイルコンピューターによって一定の任務を遂行して報酬を確保するノマドワーカーと呼ばれるワークスタイルも登場している。さらには宿泊先の現地で月収10万円程度稼げるレベルの仕事で事足りるとするライフスタイルも珍しくはない。生活費からみたシェアハウス活用のリアリティがここにある。

シェアハウス〜使い方からの視点〜
 一方、シェアハウスの使い方のリアリティも散見される。たとえばある大学附近に○○ハウスなるシェアハウスがあって、曜日ごとに主宰の先生があてがわれ、その主宰者のそれぞれの話題提供に問題意識を持つ生徒や近隣住民が集まって議論をする場となっている。5〜6人の主宰者が月1万円ずつ出し合えば家賃に該当する経費は捻出できる。学問を基本とした実学の議論だから実に楽しいし意義もある。特に大学の先生方にとっては実学に裏付けられた研究の窓口にもなっている。つまり問題意識を持って議論したい人々のクラブだ。そこでの飲食調達は集まる者達が自主的に管理し、100円で仕入れた飲み物を130円で提供すれば冷暖房やその他の維持費に充てられる。
 たとえば前述の10万円以下の収入を得る方法としてこういう場合の管理・運営人は最適だ。彼が経費のかからないメーリングリストで登録されたメンバーに「今日は○○先生のこういう問題提起です」という案内や飲食のサービスや仕込みを行うと維持費が管理・運営人の手元に入る。飲食を目的とした議論ではなく、議論を目的とした飲食であり、所有と体感による満足ではなく、知的発見による満足という価値の転換だ。しかも安価で事足りる。経済成長の限界期における成熟したモデルだ。

小樽の歴史的建造物
 このシェアハウス的器として、小樽の歴史的建造物は実に相応しい。この相応しさを実現させるには、所有者がこういった新たな使い方に理解を示し、議論や知的発見に興味を示す人々が必要だ。そう考えると現状の小樽だけでは難しい。しかし観光客のリピーターや宿泊者は少なくとも小樽になんらかの興味を抱いている。彼らは様々な地域から訪れているので、互いの地域を比較して考える「地域学」を追求する議論であれば議論の対象に相応しいし、この分野の研究は未然形だ。ここにおたる案内人マイスターの出番がある。
 たとえば石川県からの観光客と小樽のマイスターのこんな会話。
石「小樽ではまちづくり団体が多いのですね」
小「石川県ではどうですか」
石「ないことはないですが小樽ほどではないです」
小「小樽は日本の中のアメリカで多民族国家ですから進取の気性でまちづくりされてきた実績があるからでしょうね」
石「石川県は日本の中でも裕福らしく進取のリスクが先に頭をもたげますからね。でも全国でも二番目という記録は結構あるのです」
 たったこれだけの会話で、石川県と小樽の特徴的な比較が見えてくる。小樽で当たり前は全国では特殊な現象や文化だと確認できるのだ。