小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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COLUMN

社会貢献
編集人 石井 伸和


本末転倒
 企業への規制は年々強化され、経営環境も厳しさを増している。就業時間規制、休日規制、税金規制、生産履歴規制、原材料値上がり、円相場など実に多彩だ。利益にこだわることから邪道に走るケースが社会問題となり規制されたともいえる。そもそも利益を出すことを命題として存在しているのが企業という結果論があるが、ただでさえ既存産業の右肩下がりが修復されず、新たなビジネスモデルも貧相な時代に、これらの規制は内憂外患や四面楚歌とさえ思える。国内企業70%以上が赤字、非正規雇用率が30%代で推移という実態がその証左だ。だから価格で勝負と、自らの首を絞める本末転倒も珍しくない。
 では企業から買う側の消費者はというと、安価さを唯一の動機としている人も多い。ガソリン代をかけてでも安く購入したことを自慢とする本末転倒は珍しくない。
 購買と購入とが互いに本末転倒し合い、本末転倒市場も誕生するならそれはそれで一つのビジネスモデルだから一向に構わない。

社会貢献
 一方で企業側には二極分化のように社会貢献を推進する動向が見え始めている。
 公正な貿易や取引(Fair Trade)、環境負荷軽減(Ecology)、健康重視(LOHAS)、さらにこれらを総称してエシカル(ethical)といい、倫理的つまり環境保全や社会貢献を意味する概念が登場している。ビジネス雑誌ではこの概念を環境、人権、動物、政治、製品の持続可能性と分析している。
「この企業の理念や商品づくりを評価するからこれを買う」という市場心理が果たして常識の領域にはまるかどうかは疑問だが、人間社会がこんな理想的になった記録はない。無論、こういった動きを批判しているわけでない。であればもう一つを取り上げてといいたい。

地域貢献
 地域になくてはならない商品、地域にあてにされる企業、地域独自の商品といった地域貢献というエシカルである。
 基本的に中央や都市に対して地方を対局に位置づければ、地方のビジネスの大半は都市文明を地方にも分配する内容で埋まっている。コンピューター、自動車、電化製品などはもちろん、スポーツジム、レンタルなどのサービス業も同様だ。しかしこれらのビジネスに従事する企業が地方で供給過多となれば、必然的に淘汰される。つまり地域内での人間関係は別として「あってもなくてもいい企業」ということになる。
 これに対して、この地域の文化を踏まえてこの地域だから発生した商品やサービスをつくっているといった場合、地方文化の都市への提供となる。こういう企業が地域に増えていくことによって、地域経済は自立の基盤をつくることができる。
 地産地消や域内循環政策も功を奏していく。つまり理想的な社会構造を唱えると同時に、我々自身の企業のありようも同時に改革していかなければ時代は変わらない。

小樽観光
 こういう視点で小樽観光を眺めてみると、観光そのものはまさに「地域の文化を踏まえてこの地域だから発生した商品やサービス」である。が、その内容はどこで販売してもいいものが調達されて販売されているケースが実に多い。ここに小樽だからつくれる商品開発が乏しい現実が見えてくる。折角理想的な市場がリアリティを持っているのだから、これをホンモノにする我々自身のありようが問われている。