天命・運命・宿命
似たようなことを意味するこの3つの言葉には、それぞれの視点があると考えている。いずれも「定め」を意味するが視点で分かれる。天命は天の視点、運命は風の視点、宿命は己の視点である。太陽がなければ地球に生命は宿らず、地球の自然が破壊されれば人類もまた消滅するという見方が天命。時と場所と機会、あるいは状況によって運は巡っており、ギャンブルやくじやゲームなどに吹く風のような見方が運命。人は自己が認識する何十倍何百倍もの潜在性を持っており、特に人と人の出会いによって気づかされるのが宿命。
天にも風にも己にも備わる無限性を表している。それを認識する人間という動物は固執する性格を持っている。この固執が己の潜在性を開拓する。いわば問題意識こそが発見の方法でしかないし、全て運まかせでは浮遊するどころか流されて泡沫と帰す。都合良く「急がば回れ」という格言があって、無限性を追求するなら逆に固執し追求することが、その窓口なのかもしれない。
歴史文化研究所
副代表理事・編集人 石井 伸和