小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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アーティスト(5)

ナチュラル・アート
彫刻家
ダム・ダン・ライ 氏 Dam Dang Lai




日本へ
 今年40歳になるライ氏は生まれも育ちもベトナム。美術大学時代の後輩で、当時留学中の渡辺洋子さんと結婚。彫刻家として活躍していたが洋子さんの帰郷に合わせ2002年来日、札幌市手稲区に拠点を構える。その頃から春香山や銭函の海に親しみ、2005年に廃屋となっていた春香町の民家を借り受け自ら改修。アトリエ、ギャラリー兼住居として活用し毎日美しい山と海を望む環境を手に入れた。国道5号沿い。張碓稲荷神社の左隣である。

ライ・スタイル
 ライ氏のアートスタイルは実に楽しい。
「僕は楽しいアートをテーマにしています。楽しいという感情は見たことのないものに向けられるものです。不思議な形や色彩ということになりますね。僕が創る立体や平面作品のモチーフはこういう楽しさなんです」
 こう語るライ氏の作品は紛れもなく不思議で、作品自らが実に楽しそうだ。つまり作品を鑑賞する側が楽しさを覚える前に、作品そのものが楽しさを発散しているともいえる。
「たとえば木を使用する作品に今は熱中しています。山で拾った木ではなく海に流れ着いた流木です。なぜなら塩分と水分に浸った木には虫がわくことがありません。同じ作品を山で拾った木でつくっても1ヶ月もすれば虫がわいてきます。また北海道では雪が降りますよね。山の木々はその積雪の圧力で毎年いろいろな方向に曲がっていきます。これは自然界がつくりあげる実におもしろいアートだと僕は感じます。さらには木々にはこれから枝が出てくる部分が突起になっていますよね。この突起はまさにこれから生まれようとする前兆です。こういう生への芽生えがたまらなく好きなんです。まだあります。根がなければ木は絶えます。人の関係も同じように何を根にするかが大事だと思います」
「森羅万象全て師なり」という格言があるが、ライ氏はあたかも自然と会話する中で人間を暖かく見ている。
 些末な例だが映画「ランボー」でもお馴染みの戦い方がある。あの映画はアメリカ軍がベトナム軍から勝利を得ることができない様々な事例を映画にしたようなものだが、最新の兵器を持つ米兵に対しベ兵は自然を利用した埋め方・囲い方・分け方・落とし方などで対抗した。ホーチミンの戦争博物館にもこれらの戦術は細かく展示されている。
 何を言いたいかというと、ベトナム人の智恵の源泉はまさに自然なのだという価値観に驚くのである。こういう新たな価値観とライフスタイルが小樽に舞い降りたことに心から感謝したい。

ライ氏のアトリエ Dala Space
〒047-0265 小樽市春香町292番地
TEL 0134-62-0440
E-mail Gallery@dalaspace.com
URL http://www.dalaspace.com/index.htm