小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
bg_top
alwHOMEalw読んでみるalwアーティスト(6)

アーティスト(6)

いつまでも、そこにあり続けてほしい家・店がある
古民家写真家
川嶋 王志 氏  Kimishi Kawashima



遍歴
 昭和36年小樽生まれの川嶋王志氏は、小樽工業高校造船学科を卒業後、愛知県のヤマハ系メーカーであるクルーザーのエンジニアとして就職、3年後にはディズニーランドで使用するジャングルクルーズなどの製造にも携わった。
 3年半で退社しメーカー系の北海道東芝家電販売鰍ナ主に量販系ルートセールスに従事、その後東芝ファイナンス鰍ヨ転籍し、札幌~北見~帯広~富山県富山市に転勤し、2011年9月に退職して帰郷。間もなく就活をする中で友人が手がけていた遠赤外線の床暖房・融雪システムに興味を持ち、自ら起業して2012年12月株式会社サニーホームワークスを設立、代表取締役に就任。

写真とフェイスブック
 川嶋氏は特段写真への興味があったわけではなく、ご子息の成長を記録するために購入したデジカメを所有していたに過ぎないという。一方2011年3・11の震災で、国や自治体の発信する情報よりフェイスブックが多くのボランティア達に有効に機能していることを知り、フェイスブックを使い始める。
 また高校卒業後、何度か帰郷する度に小樽の景色が変化していることが心に蓄積され、第二の人生として小樽で起業してからもどんどん歴史的街並みが壊されていく様を身近で見たことから、古民家を撮影する動機となり、フェイスブックでその作品を既に470軒以上アップされている。

心象風景
 川嶋氏の写真はとても優しく人柄が滲み出ている。
「僕は暇を見つけては小樽のあちこちを散策して古民家を撮影しています。もちろんプライベートなフェイスブックに掲載するだけで、パブリックには使用していません。その動機はいつまでもあり続けてほしいという僕の勝手な願望です。僕にとって古民家は素敵な建物であると同時に、こういう建物がたくさんあった時代の生活風景が蘇ってくるのです。僕の世代はアナログとデジタルの境目、田舎と都市の境目で両方体験していますよね。するとアナログや田舎の時代に積み上げられた大事なものがデジタルや都市になることによって無残にも破壊されていくことに痛みを感じるのです。そして古民家には圧倒的に高齢者の独居が多く、夜そこを通って灯りが点いているとホッとしたりします。また昔の建物ですから現在と比べて寒く暗いのですが、それが当たり前という常識がその暮らしの中に滞留していることの貴重さが僕の心に染みてくるんですよ。冬にはお年寄りが一生懸命雪かきをしていたり、雪囲いをしていたり、彼らにとっての当たり前さに感動してしまいます。この僕個人の感じ方は決して狭い感性でもなく、若い頃本州の知人が来樽した際に、トタン屋根や煙突の群れを見て「メルヘン」そのものと感じたように、小樽全体がそういう魅力を持っているのだと思いますね。歴史文化研究所のお手伝いをして市内の歴史的建造物を調査しましたが、20年前の半分以下に減っています。するとシャッターチャンスにおいても、今撮らなければという危機感がリアリティを持ってきます」

川嶋 王志 氏
〒047-0033 小樽市富岡1-23-8
TEL&FAX 0134-64-5158