小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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地産(39) 後志でなにが生産されているの

アイスクリーム
アイスクリームパーラー美園
漆谷 匡俊 氏


初代 勝太郎氏
初代 勝太郎氏

昭和初期の店内
昭和初期の店内
チャレンジ精神あふれる初代
 初代の漆谷勝太郎氏は明治19年、函館の海産商の次男として生まれる。父親からは常々、次男のため家業の跡取りにはなれないことを伝えられていた。自分の進むべき道は自分で見つけなければならなかった。父の好意で学校を卒業後、将来、自分で事業を興すために家業の手伝いをさせてもらうことになる。やがて海産物の売り込みのため、小樽地区の担当となり函館と小樽を行き来するようになった。これが小樽との接点。
 活気溢れる小樽をすっかり気に入った勝太郎氏は、小樽で事業を興す決断をし、函館の親元を離れ、小樽へ移住することになった。明治40年代の小樽は港も栄え、外国航路の船も数多く往来していた。
 開業資金を貯めるため、様々な商店で丁稚奉公をし、お金を蓄え何とか独立を果たすことになった。20代前半だった。その商売とは下駄屋。今の都通りに店舗を購入した。アイデアマンだった勝太郎氏は蓄音機を鳴らすなど他の店にない商売の仕方をした。しばらくはまずまずの商売をしていた。
 ところが、大正時代に入り、世の中のライフスタイルが大きく変わった。着物から洋服へと変わっていったのだった。当然、下駄の需要も急激に減り、廃業も覚悟した。悩む日が続いたある日、龍宮神社のお祭りで家族連れがたくさん繰り出す様子を見て、勝太郎氏はひらめいた。祭り帰りの人のために「氷屋」をやってみようと思いつく。いわゆるかき氷屋だ。早速、店先に戸板を置き、氷を仕入れ、手作りのシロップを用意し売り出した。当時は家庭で氷をつくることができなかったので、この商売は大当たり。夏だけでも下駄屋の1年分の売上を超えたという。その後、本格的な店づくりに取り組み、甘いデザートも提供するようになった。この頃は1日に1トンの氷を仕入れるまでになった。

現在の店内
現在の店内
アイスクリームの誕生
 ある日、店にハイカラな格好をした外国航路の船員がやってきた。その船員は勝太郎氏の働きぶりに見入っていた。すっかり気に入ってしまった船員は、仕事が一息ついた時、話しかけ、氷をそんなに使うのであればおいしいものを作って見せるので、材料と台所を貸してほしいと言った。その時作ったのがアイスクリームだった。初めての味だった。その船員は、以前フランスで教わった作り方を小樽に滞在中、勝太郎氏に教えたのだった。その後、店を改装しアイスクリームの店にしたのだった。これが「美園アイスクリーム」の誕生となった。大正8年、33歳の時だった。この年が美園の創業年となる。

ユーモアあふれるメニュー
ユーモアあふれるメニュー
店名の由来
 当時、アイスクリームは庶民の食べ物ではなく、かなり高価なもので、よそ行きに着飾って優雅に食べるものだったという。現在の価格で換算すると一杯の値段はおおよそ2,000円位。それで改装した店はサロン風で椅子やテーブルもお洒落なものにし、店の奥には庭が造られた。その庭を見た知り合いの新聞記者が「美しい庭…楽園…」なので「美園」と名付けたのだった。商売は順調に推移した。

小樽運河愛す最中・大正浪漫アイスモナカ
小樽運河愛す最中・大正浪漫アイスモナカ
一子相伝
 危機が訪れる。昭和に入り、戦争の影響で材料も配給制となったことに加え、贅沢品だったことで客足が減っていった。また後継ぎであった息子・克司氏が戦争でサイパンに行ったことで死を覚悟していた。色々なことが重なり、やむなく昭和20年、閉店することになった。ところが奇跡が起こる。克司氏が戦地より戻ってきたのだった。そして、勝太郎氏が築き上げた味を守るため、閉店した店を二代目として引き継ぐことになった。
 添加物を一切使わない作り方は基本の材料のレシピしかない。練り方、火の入れ方、空気の入れ方などは、季節や気温でいつも違うので文字で表せない。克司氏は必死に学び、自分なりにノートに記していったという。今もそのノートは残っているが英語で書かれているという。
 そして、現在三代目の匡俊さんは東京の雪印パーラーなどで修業後小樽へ戻り、二代目から製法を学び、基本を守り続けている。材料も赤井川村の牛乳、ヨード卵、アカシア蜜などにこだわり、初代の特徴である後味がさっぱりとした飽きのこない味にこだわっている。創業94年となったが、今でも初代、二代目の作ったアイスクリームの味を知っているご年配のお客様がおり、味のお目付け役となっているという。

新たな美園へ
 今、経営は匡俊さんから息子の壽昭さんへ引き継いだ。四代目となる壽昭さんは東京のレストランで修業後、更にフランスへ渡り修行、その後小樽へ戻り、運河沿いの「ル・キャトリエム」をオープン。パティシエとして経営者として活躍している。もちろん、美園アイスクリームの一子相伝の味も伝授されている。
 ちなみに、「キャトリエム」とは「第4」という意味。壽昭さんの好きな数字が4だからと付けた店名というが、恐らく四代目を自覚して付けたのではないだろうか。

アイスクリームパーラー美園
〒047-0032 北海道小樽市稲穂2丁目12番15号
*都通り商店街内(JR小樽駅より徒歩4分)
TEL 0134-22-9043 FAX 0134-33-6933
営業時間:AM10:30~PM9:00 毎週火曜定休
E-mail:info@misono-ice.com URL:http://www.misono-ice.com/
*アイスクリームは本店、ル・キャトリエム、運河プラザ、JR小樽駅タルシェ、朝里ウインケル、イオン小樽内美園イオン店で購入することができます。