小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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COLUMN

コンセプトカフェ(コンフェ)
編集人 石井伸和


喫茶店ブーム
 昭和50年代の小樽は喫茶店ブームであった。ちなみに職業別電話帳での喫茶店数は同55(1980)年215店に対し、平成25(2013)年74店と33年間で3分の1に減っている。当時の喫茶店需要の背景には高度経済成長で多くの国民が一定の生活を満たしたことがある。彼等の余剰の小金が向けられた先に喫茶店があった。
 一方供給側では、都市から脱して故郷に戻るUターン現象が勢いを増し、彼らが最も手軽に得たビジネスモデルが喫茶店であった。メインメニューである珈琲は、今日でこそ自宅で本格的に味わう豆も器具も整えているが、当時は喫茶店以外にはほとんど存在しなかった。また趣味も多様化しておらず、喫茶店に流れるBGMは多くの音楽マニアの安らぎの空間や好奇心の対象となっていた。
 このように需要と供給が相乗効果を発揮し小樽に喫茶店ブームが巻き起こった。

様々な喫茶店
 ビジネス利用やランチ利用の喫茶店は別として、この頃の喫茶店には店主のライフスタイルらしきインセンティブ(誘導)が発信されていた。客もそれらのどこかが気に入り、最終的には店主とも顔見知りとなって常連化していき、常連同士の交流も深まり、「今度ジャズのコンサートを主催しよう」「今度ここでフォークのライブをしよう」「今度ストレート珈琲のきき茶をしよう」などと喫茶店ごとにコミュニティが生まれ、なんらかのパフォーマンスを介して交流と親睦が深まっていった。

特異な事例
 昭和50年「叫児楼」、昭和52年「メリーズフィッシュマーケット」「メリーゴーランド」という喫茶店が小樽に誕生する。これら3つの喫茶店から派生した若者のコミュニティが「運河を保存再生させたい」と願う1点に共通して昭和53年に第1回ポートフェスティバルインオタルが開催される。無論実行委員会はこれら3つの喫茶店店主や常連客が執行部を構成していた。たとえばブルースを好きな叫児楼コミュニティが「俺たちのブルースステージをつくろう」、フォークの好きなメリーゴーランドコミュニティが「俺たちのフォークステージをつくろう」から派生して、「運河は最高のロケーションだ」で結束した。
 そしてポートフェスティバルは、当時辛気くさくタブー視されていた運河問題を一気に明るく議論できる風潮に変える社会現象になり、全国のまちづくり運動に大きな影響を与えた。
 そもそも音楽や趣味やあるいはライフスタイルの一端を契機に集まったささやかなコミュニティを起源とするものであった。

喫茶店そしてカフェ
 昭和50年代当時、喫茶店と呼ばれた存在は30数年を経てカフェと呼ばれるようになった。その違いはオシャレさや清潔度、そして建築設計のセンスが高じたことや、より個性的珈琲やソフトドリンクを取りそろえた程度でしかないが、BGMへの価値観が大きく減じている。現代の若者にとって音楽は娯楽や趣味にも数えられない程度になった。
 音楽でなければ、たとえばスポーツ、雑貨、ロリータファッションでもいい、茶飲み話の対象があれば、そこで洗練された文化が生まれる可能性がある。この洗練された文化の創造はコミュニティという社会的装置が最も近道だ。

プロセス
 今後様々なコミュニティ形成機能を持つコンセプト・カフェ(コンフェ)があってもいい。コンフェでは飲食とともにテーマごとの商品販売も行うことからダブルインカムの利点もあるため、持続的な営業形態も模索できる。そして大事な派生として、中小企業との連携コラボが醸造され、新たなビジネスモデルの誕生も充分期待できる。おまけに一見客を呼ぶ観光拠点の展望も開ける。
 段階としては、興味のあるコンフェへ行く(動機)→コンセプトのテーマに凝る(浸透)→仲間とイベントを企画実践する(実践)→集客・参加・販売ノウハウの研究(研究)→中小企業と連携した商品開発or起業(デビュー)→小樽のライフスタイル増殖(観光資源)に発展する。

■コンフェ・アラカルト■
@スポーツ・カフェ
 様々なスポーツのメイン試合や競技が大画面ライブで放映され、今一度鑑賞したい名場面の録画も楽しめ、プレイ仲間で練習や競技がおこなわれ、スポーツイベントの発生も期待できる。
A雑貨カフェ
 オリジナルの雑貨作家による雑貨が集積し展示販売や創作教室などが行われ、ライフスタイル形成にはもってこいの環境になる。
Bアート・カフェ
 新興アーティストの交流拠点となり、奇想天外な仲間が形成され、日替わり週替わりでアートが交換展示される。展示品はもちろん小物アートも販売され、仲間達によるアートフェスティバルへ展開。
Cインフォメーション・カフェ
 たとえば「おたる案内人」の溜まり場として、そこへ行けば様々な小樽情報を入手できると同時に、「おたる案内人」の最新の研究発表も聞けて交流ができる。
D試食カフェ
 後志管内で加工される農産品や水産品をコーディネートしたメニューが用意され、これらを土産として購入できる。管内の六次産業ラボとの連携も行われ、新商品の発表の場となっていく。
E幕末カフェ
 吉田松陰、高杉晋作、坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟などの幕末立役者の書籍や資料が集積され、彼らの志を現代に置き換えて口角泡を飛ばす議論が湧き、時代に風を起こす志が喚起される。
Fゆるキャラ・カフェ
 たとえば「運がっぱカフェ」では運がっぱグッズはもちろん、飲食においても様々な運がっぱメニューが用意され、蘊蓄や笑いが醸造され、無論着ぐるみの展示や実演も行われる。
Gデザイン・カフェ
 全ての既存の商品やグラフィックを新たにデザインする研究会となり、製造メーカーなどとの連携を行い、若いデザイナーの支援ともなっていく。