小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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COLUMN

特区
編集人 石井伸和


構造改革特別区域法
 平成14年12月18日「構造改革特別区域法」が制定された。この着眼点は、「実態に合わなくなった国の規制が、民間事業者の経済活動や地方公共団体の事業を妨げている。そこで、民間事業者や地方公共団体等の自発的な発案により、地域の特性に応じた規制の特例措置を導入する特定の地域(特区)を設けて、構造改革を進め(愛知県ホームページ)」というもの。この新たな国の方針により、日本全体の経済活性化と地域の経済活性化を推進しようという意図である。
 これまでの国の構造は、画一化させて集中力を発揮する中央集権構造を形成させてきたが、これからは地域の個性を重視した構造改革を進めるために、地域の個性ある経済活動を奨励しようとする革命的な新法とみていい。

小樽と特区
 このような法律が制定された背景には、小樽でのまちづくり運動が影響を与えたといっても過言ではない。昭和48年から59年に繰り広げられた小樽運河保存運動は、画一的な上位計画にNOをつきつけ、全国のまちづくり運動を刺激したし、昭和59年以来小樽で72ものまちづくり団体が生まれ、活動してきた結果、全国区の観光地にまで発展したからだ。
 極論するなら小樽という小都市の運動が国の法律に波及されているともいえる。
 したがってこの法律は、国は地方の個性を認め、地方経済を活性化させる転換点ということになる。

小樽の個性素材
 では小樽の個性やそれを活用した経済政策にはどんなことが考えられるだろうか。以下現在進行中の2点の事例から考えてみたい。
1.歴史的建造物再利用
 歴史的建造物再利用は小樽観光の牽引役となり、小樽の文化にまで認識される重要な個性だ。しかし強化された建築基準法によって、再利用より新築する方が合理的という矛盾が存在する。この建築基準法に構造改革特別区域法(特区法)が刺さり込み、お目こぼしという緩和措置がとられたら、歴史的建造物の再利用は大きく促進される。しかし一方で、地震・火事などに耐えられる改築技術も同時に存在していなければ、「お目こぼし依存」になってしまう。
2.中小企業振興基本条例
 全国の中小企業家同友会が推進している中小企業振興基本条例制定運動は、地方の経済活性化のために、地方ごとに異なる牽引産業を支援し基幹産業化させ、他の産業にも好影響を与えるために制定しようとするものである。これも同様、小樽の個々の中小企業が21世紀型企業といえるような改革をしなければ、「条例依存」体質が普遍化してしまう。
 公私共々
 地方の個性を尊重してお目こぼしが法的に保証されることは、願ってもない地域経済の自立手法であることは間違いない。
 しかし技術や体質が伴わずにお目こぼしに依存するのでは、リスクマネージメントとして合点がいかぬ。
 法的措置で経済活性化の片が付くのであれば、こんな簡単な話はない。が現実はそんなに甘くはない。経済は既にグローバルなのだから、グローバルな経済に太刀打ちできる技術や企業体質があって、お目こぼしが有効なバネになる。

特区とまちづくり
「まちづくり」という言葉が誕生し普遍化してくるのに30年以上が経過している。画一化が地域の個性を喪失させる矛盾に起点があった。そしてそれを認めた国が構造改革特別区域法というボールを今度は地方に投げてきた。だから地方が公私に亘って悩み努力することが問われている。そしてこの悩みと努力が結実した暁に特区実現が展望できる。小樽の場合「歴史的建造物再利用特区」「観光特区」「歴史再生特区」「近代化遺産特区」「まちづくり特区」などいくつかのコンテンツが想定できる。
 こういうことが認められれば、小樽経済振興に向けた求心的な産業構造も新たに構築され、まさに構造改革特別区域法のモデルとさえなる。そして構造改革特別区域法に沿った地方ごとの中小企業振興基本条例が相乗効果を生むことが望まれる。