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観光学(59) 観光を読む

「ロリカワ観光」のすすめ
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三



タビカレ・プロジェクト
 いま小樽と札幌で「ロリカワ観光」の推進が行われている。昨年2月に「ロリカワ観光ツーリズム推進協議会」が設けられ、小樽と札幌のロリカワ観光ツーリズムを推進するためのさまざまな活動が行われている。
 政府は昨年1月に「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を閣議決定したが、それを受けて観光庁はその対策の一環として「官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業(通称:タビカレ・プロジェクト)」の公募を行った。タビカレ・プロジェクトは、地域の特色ある資源を活かした旅行商品の造成と地域の魅力の発信を目的にしており、全国から163件の応募があり、そのうち78件が選定されている。

ロリカワ観光の推進
 ロリカワ観光ツーリズム推進協議会は、小樽市産業港湾部観光振興室、札幌市市長政策室プロジェクト担当部、一般社団法人北海道体験観光推進協議会、サッポロ・ロリータ・クラブなどで構成されており、タビカレ・プロジェクトに「小樽・札幌周遊型ロリカワ観光ツーリズム事業」を応募し、見事に選定された。
 このロリカワ観光事業では、小樽と札幌が有する既存の観光資源(歴史・文化、景観、食など)に、ロリータやカワイイ文化という付加価値を結び合わせることによって、新たな観光商品をつくることを目指している。すでに「小樽kawaiiティーパーティー」、札幌大通歩行者天国でのロリカワ撮影会&大通周辺カフェでのお茶会、「JAPANロリカワパーティー in 札幌ファクトリー」、モニターツアーなどが実施され、成果をあげている。

世界カワイイ革命
 私はすでに68歳の初期高齢者なので、偽らざるところ「ロリカワ観光」を知った時になにが意図されているのかすぐには理解できなかった。たとえば「ブスかわ」であれば、パグやブルドックのように不細工だけれども愛嬌があって可愛いと理解できる。同様に「キモかわ」の場合にはキモい(気持ち悪い)けれども可愛い感じがすることだし、「エロかわ」は倖田來未のファッションに象徴されるセクシーな可愛さだとわかる。されど「ロリカワ」はすぐにはピンとこなかった。
 ところが櫻井孝昌氏の著書『世界カワイイ革命』(PHP新書)を読むと、すでに「カワイイ(kawaii)」が世界共通語になっており、世界各国の若い女性たちが「日本人になりたい」と叫ぶ時代が到来しているらしい。現に日本の外務省は09年に「カワイイ大使」をモデルの青木美沙子さん、歌手の木村優さん、女優の藤岡静香さんに委嘱している。三人のファッションは、ロリータ、原宿系古着リメイク、制服らしい。
 外務省は「アニメ文化外交」に力を入れており、その結果として、パリのジャパン・エキスポ、バルセロナのサロン・デル・マンガなどの日本のポップカルチャー愛好者のためのビッグイベントではカワイイ大使に代表されるファッションが驚くほど浸透しているとのことだ。
 そのように考えると、レトロな歴史的建造物が立ち並ぶ小樽のまちを「ロリータファッションの聖地」として国内外に売り込むための「ロリカワ観光」の推進を図ることは妥当と理解できる。観光をめぐる大競争時代が到来しているので、地域資源を活用した新しい観光の創出は地域の未来を拓くために極めて重要である。