小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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アーティスト(12)

縄文文化とライフスタイル
陶芸家
前田 隆護 氏 Ryugo Maeda
アート工房 開拓舎主宰/小樽縄文人の会


1階工房
1階工房

工房看板
工房看板

動機
 前田氏は昭和23年に小樽で生まれ市内の建設会社に勤務していたが、歴史に興味を抱き、趣味で小樽の歴史的建造物の細密画を描く中で、歴史最古の縄文時代に思いを馳せるようになる。そのキッカケになったのは小樽のストーンサークルに魅せられたことだという。
 平成17年に余市縄文の野焼き祭りに参加し、多くの縄文文化に興味を持つ人々と交流した。そして自らも縄文土器の技術を身につけ、前田氏独自の創作活動が開始され、平成21年「アート工房開拓舎」を設立。翌平成22年「小樽縄文人の会」を立ち上げる。当会は既に50名が登録され、創作活動や縄文文化の議論が活発に交わされている。

縄文の祈り
縄文の祈り
縄文文化
 「縄文人の時代は約1万年も続いてきましたが、同じ人間同士の争いのあとが全くみられません。人類史が弥生時代になって以来今日までまさに戦争が絶えたことがないことに、私は不思議でなりませんでした。なぜ人間同士が争うのか、逆に言えば、どうして縄文人は争わなかったのかということに強い興味を抱いています。縄文人は家族や仲間を大切にして、月の満ち欠けを尺度に自然との調和を図って生活していました。それがどこでどう狂ってしまったのでしょうか。たとえば狩猟という生業の中で土器をつくりますが、その大きさからして必要以上のものではありません。これに対して弥生文化は米作がシンボルですが、米は保存できますよね。ここに必要以上の保存概念が植え付けられます。それは最初、安心でしたが、この安心の量が増えることによって権力に変化していきます。権力は支配・被支配の関係の強化に必然的に向かいます。これが人間を争う行為に発展させた背景だと私は思っています」

縄文の祈り
縄文の祈り
縄文文化の今日的浸透
 「だからといって、現在の文明を否定しようとは思っていませんが、なんらかの方法によって縄文文化を現在に浸透させ、少しでも争いをしない文化を創造していきたいと考えています。もちろん現在はいやがおうにも競争社会です。そんなのんびりした考えのものはどんどん負け組というサイトに追いやられてしまいます。だからまさに私の思いは四面楚歌という方もいます。でもたった一つだけその方法があるのではと思うようになりました。結論からいうと個々人のライフスタイルです」

ライフスタイル
 「人間であれば欲をもっています。もちろん縄文人にも欲はあったでしょう。人類史はこの欲の使い方で編まれてきたともいえます。そこで日本の近代史と現代史を思い起こしてみてください。産業革命を導入し近代的産業を興し、高度経済成長を達成し、飽和状態のバブルを体験し、現在は成熟化を模索する時代になっています。私はこの成熟化の時代だからこそ、個々人のライフスタイルがどんどん開花していくと予測しています。ライフスタイルは収入の多寡や立場の高低にはあまり関係ありません。これからはライフスタイルの確立に生きる喜びを見いだしていく時代ではないかと思います。自分らしい食生活、自分らしい遊び、自分らしい創作、自分らしい仕事の調和ですね。ここにこそ縄文人文化を取り入れる道が開かれると思うのです。つまり欲を自己完結に誘導するということですね。そうすると人が人に会うことが楽しみになります。争う動機が少しでも減ると思うのです」

メッセージ・アート
 これほど明確なメッセージを発信するアートを見たことがない。ちなみに小樽が歴史が残してくれた歴史的建造物を大切に再利用する運動は、小樽の街のライフスタイルともいえる。ここに個々人の新たなライフスタイルが加われば、世界最先端のまちづくりになる。

アート工房 開拓舎
〒047-0001 小樽市若竹町16-13
E-mail t-maeda@cronos.ocn.ne.jp
URL http://otaru-jikishin.net/