クラフトギャラリーがあったら
陶芸家
三津 和広 氏 Kazuhiro Mitsu
三津氏は昭和52年に札幌で生まれ、3歳から小樽に住み、小樽桜陽高等学校を卒業し、石川県立九谷焼技術研修所に3年学ぶ。石川県時代には同時に陶芸家松本佐一氏に師事し、陶器・磁器の技術を学んだ。
小学時代からものづくりに興味を抱き図工の時間が好きだったという。三津氏は20歳のときに堺町のふうど館で鑑賞した陶芸家中村照子氏の作品に感動し、自ら中村氏を訪ね、その紹介で中村氏の師でもあった松本氏をご紹介いただいた。
このように自分の問題意識とアンテナに響いた人を自ら訪ね、道を開いていく若者は実に少ない。
カンとコツ
石川県で修行を積み、故郷の小樽の現在地で窯やロクロなどの道具を設備し、間もなく自立の道を探る。
「既に自立を試みて16年経過していますが、まだまだこの道は深く遠いというのが実感です。生業としては15人ほどの生徒さんとの教室や、市内のホテルや堺町の店舗に作品を卸すことでつないでいます。
材料は主に石川県から取り寄せ、釉薬などは様々な地域から選んで取り寄せて創作しています。16年でやっと陶器・磁器の作品をつくる現場での諸過程で様々な具合のコツが見えてきました。
ロクロの回し具合による構造のコツ、窯で焼く位置や温度による色の変化などですね。その他細かい各段階のカンやコツがやっと身についてきました。
現在はまだまだ修行の身ですから、窯の名もなく、したがってその特長を見いだすために多岐に亘る形に挑戦しています。現在は磁器で自分の色としての白色が気に入っていたり、食器や花器、あるいはロクロや板づくりなどの中から円形に特長を見いだしたりして、少しずつ自分らしい創作を見いだしつつあります」
デザイン
建築でも服飾でもデザインが重要視されてきたが、アートやクラフトの世界では、創作者自らがデザインを兼務している。三津氏自身にもその作品を見れば、白色や円形に独自のデザイン世界が見いだされている。アーキテクト・デザイン、インダストリアル・デザインなどがあるように、クラフト・デザインという領域があってもいい。
ギャラリー
「僕は小樽観光の中にアートやクラフトの領域があってもいいと感じています。既に硝子は多くの方々が手がけていますが、硝子以外では一同に集めたギャラリーもありません。ギャラリーがあれば作家同士の交流も生まれ、切磋琢磨する機会も生まれます。自分流の特長を発見したり磨いたりするには、交流による刺激が最も必要だと思っています」
三津氏のように若い陶芸家も含めて、小樽には雑貨作家などの創作者も増えている。
小樽でのアートやクラフトの胎動は既に機が熟している。
三津 和広
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