小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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インフラ(13) 地域のためになくてなはらないものたち

小樽港(7) 人流


小樽駅あたりから望む第三埠頭の客船<写真:濱田 剛 氏>
小樽駅あたりから望む第三埠頭の客船<写真:濱田 剛 氏>

港における人流
 これまで既述してきた内容は、物流の変化に対応した一連の小樽港湾整備ではあったが、物流に対し人流という需要が21世紀に入って顕著になってきた。小樽市産業港湾部では、ロシア船、客船、フェリー、遊覧船、運河クルーズの5部門を人流という概念で集約している。この中で遊覧船と運河クルーズは船で小樽に入港したわけではなく、アミューズメントとして利用したと認識する方が正しい。

ロシア船
 ロシア船の入港は、ロシア側の中古車輸入が契機になっている。日本製中古車は性能も良く安価であることがロシアでの人気を得て、ロシアで修理して国内で販売するビジネスモデルが栄えた。そこに1989(平成元)年ベルリンの壁が崩壊し、自由主義経済への拍車がかかり、平成3年に小樽港乗降者7,865人とピークになる。平成6年に急減するのは、ロシア国内の態勢や関税法の変化による。当時、ロシア人が小樽の街を歩く風景は普通になっていた。また塩谷のスクラップからタイヤを何本も持ち歩く風景もよく見たし、商店街もロシア語看板を掲げ、小樽での歓迎態勢も整いつつあった。昭和後期から平成にかけて観光客も貨物船に混じっていた。ロシア人観光客の小樽人気は北海道一だった。その理由は港から、観光地、商店街、交通拠点いずれも徒歩圏にあるということだ。小樽人が全く気づかない小樽の特長だった。

客 船 
 ラブストーリー化したタイタニック号のような豪華な大型客船が小樽港に入港している。今年(2014年)は昨年(12,295人)のピークの倍近い入港が予定されてもいる。小樽港第三埠頭に着岸し、小樽駅から見えるその異様な風景は、小樽人も驚く美しい景観だ。
 そもそも物流基地として発展した小樽港だが、観光形態の多様化の中で、他の交通機関に加え、優雅でのんびりした船上ライフを楽しむ客船の旅は観光の最先端の出現といえる。そこに小樽港が選ばれたのは、ロシア人が指摘した港からの徒歩圏の充実性に起因し、全国区の観光地としての受け皿が整備されてきたからと思われる。
 昭和26年重要港湾、昭和28年小樽市が港湾管理者、平成22年には重点港湾に漏れ石狩湾新港・函館港・釧路港に物流面で遅れをとったが、平成23年に伏木富山港と舞鶴港とともに日本海側拠点港に指定され、客船誘致振興を方向付けされた。

フェリー
フェリー
フェリー
 フェリーは平成10年に443,076人をピークに以後漸減し、平成25年には172,382人にまでなっている。平成14年に新日本海フェリーが小樽-敦賀間運行を廃止した翌年から約10万人減少している。
 ちなみに前号で記述した「ロールオンロールオフ」は通称「LoLo船」といいトラックや自動車運搬専用をいい、フェリーはそれに人を運ぶ兼用、客船は人専用の運搬をいう。小樽港では5万トン以上は勝納埠頭、それ以下は第三埠頭に着岸するが、常時運行されているフェリーは勝納専用であるので調整もあるという。

人流の趨勢
 小樽港利用の視点からの傾向では、減少してきたとはいえ平成25年フェリーが172,382人、増えてきたとはいえ客船が12,295人で比ぶべくもないが、勝納と第三埠頭が小樽港の人流の受け入れになっている事実は確認できる。
 特に第三埠頭基部に整備された多目的広場はまさに人流対策だ。
 今後、客船の乗降者に価値あるサービスや物販がどのように整備されるか期待される。いずれにしても港からの徒歩圏の充実性を備えている利点の追求であってほしい。