トロフィー（長いも）
留寿都村
丸岡 稔 氏
留寿都村の農業
出荷するまで大型冷蔵庫で保存
なだらかに続く豊かな丘と、羊蹄山をはじめとする美しい山並みに囲まれた留寿都村は、澄んだ空気が高品質の農産物を生産する農業地帯。また今は国内外からの観光客を集める観光リゾート地にもなっている。
留寿都村は、澱粉原料として最良品種の「紅丸いも」の発祥の地として知られ、品種改良した「キタアカリ」は甘みがあり、馬鈴薯の産地として先進的な役割を果たし、高い評価を受けている。また、大根は、全道一の生産量で、ほどよい甘みと辛みがあり、品質、鮮度ともに優れている。
留寿都村の長いも
先端が平らなのが特徴
北海道は長いも生産量全国一。道内では十勝地方の6農協が広域連携を行いブランド化し、生産量も圧倒的。ちなみに、生産量2位は青森県で、北海道と合わせると、全国生産量の約8割を占める。留寿都村の長いもは4月から5月にかけての春掘り。根を付けたまま、深い雪の中で越冬させる。羊蹄山麓でも留寿都村は石の少ない土地で、長いも栽培に適している。
丸岡さんは農家の2代目。主たる生産物は馬鈴薯と大根。長いもの生産量の比率は少ないが今回紹介するトロフィーにこだわり生産している。父親の代は、澱粉を生産するため紅丸いもを中心に生産していた。昭和30年代までは農家数軒で一つの澱粉加工場を持ち、それぞれが生産した馬鈴薯を澱粉にして販売していた。今でいう6次産業化が行われていた。澱粉加工場はその後、農協が主となり加工するようになったという。
丸岡さんが長いもを生産するようになったのは昭和47年頃。当時、農家に出入りしていた肥料会社から勧められ、青森から種を買い、生産するようになった。昭和58年頃には、それまで手作業だった栽培に代わり、機械化するために十勝へ視察に出向き、そのノウハウを導入した。最初に機械化に取り組んだのは4軒の農家だけだったが、お互いに栽培基準を厳しくし、品質の良い長いもにこだわっていた。この頃から長いもを生産する農家が次第に増えていった。
トロフィー
煮てもおいしい
丸岡さんは長いも栽培を休んでいた時期があったが、平成15年、道の駅230ルスツがオープンすることになり、これを機会に長いも栽培を再開した。どうせ作るならと、過去に一度作ったことのあった味の良いトロフィーにした。
現在主流になっている長いもの品種は、青森県の在来種を改良した「ガンクミジカ」と呼ばれているもの。ガンクとは首を意味し、首が短く均一に太く肉付きが良いことからそう呼ばれるようになった。これに対してトロフィーは「ガンクミジカ」の突然変異個体から育成されたもので、芋の長さが中位で、首の短い徳利形の品種。通常の長いもは太い方の先端が丸みを帯びているが、トロフィーは平らな形で、ちょうど受賞した時にもらう「トロフィー」を立てた形に似ていることから名付けられたようだ。正式名称はトロフィー1066（トロロ）。
トロフィーはとろろにすると、きめ細かなサラサラとした食感、煮ても煮崩れしにくい硬さ、通常の長いもより甘みがあるなどの特徴がある。しかし、これらの特徴を引き出すためには有機肥料を使っての栽培が不可欠。化学肥料を使えば大きく、それなりにできるが本来の品質に影響がでる。しかも種は通常の長いもの価格の約3倍、種も肥料もコストがかかる。このため取引価格は高いが取引量が少ないのが現状。高級品種のため市場に出回ることは少なく、料亭や飲食店での需要が主だという。
丸岡さんは毎年、農地の一角に長いもを栽培している。収量は約3〜4トン。本数にして約5,000本前後。雪解けの4月中旬から5月にかけて掘り出す。留寿都村の長いもは、正に今が旬。コスト高のトロフィーだが、丸岡さんが生産する長いもの味を知っているお客様が毎年、この時期が来るのを楽しみに待っているという。だから絶対に作り方も手間もコストも変えることが出来ない。
丸岡さんの食べ方のおすすめは、本来のいもの甘さを味わうため、とろろにして、ほんの少しの醤油で食べること、または煮物にしても美味しい。煮ると里いもの食感に近く、酒の肴に最適。
春から初夏に向けての行楽シーズン。トロフィーってどんな長いもなのか、道の駅230ルスツに立ち寄り、丸岡さんのこだわりの味を一度味わってみては。
丸岡 稔
〒048-1724 虻田郡留寿都村字三豊225番地
TEL&FAX 0136-46-3871
*トロフィーは国道230号沿い、道の駅230ルスツにて販売しています。
