小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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アーティスト(14)

もったいない。なぜなら生かせるから。
着物生地のリメイク
河原 幸枝 氏 Yukie Kawahara


もーどゆきえ  河原幸枝氏
もーどゆきえ 河原幸枝氏

作業場
作業場

経歴
 河原氏は昭和10年に札幌に生まれ、同30年北海道文化服装学院を修了と同時に嫁ぎ小樽へ。以後、個人的な領域で洋裁を行っていたが、昭和52年にブライダルハウスBIBIに洋裁師として乞われ、ウエディングドレスやフォーマルウエアづくりに同62年まで従事。この洋裁師としての10年間にブライダルのファッションショーにも出品し、世界の様々な衣装についての見聞を広める。
 昭和62年「もーどゆきえ」として52歳で独立、小樽の稲穂に店舗を構える。このとき既に新たな洋裁手法として、年々着用人口が減少する着物の生地リメイクのイメージがふくらんでいたという。

着物生地のリメイク
 「私のリメイクへの動機は、母親からもらった着物を見たときでした。着物の減少に加え、母の時代から着物のデザインも変わっている。そのまま着物として着る機会も少ない。でも着物にはしなやかさや雅という日本独自の文化が染みこんでいる。そのまま箪笥にしまっておくにはもったいないといった気持ちでしたね。いっそ形を変えて洋装に再利用したらって思ったんです。洋装なら古いデザインも新しいと気づきました。ですから着物にハサミを入れることにはためらいはありませんでした」
 まさに小樽のまちづくり運動そのものである。古い街並みを再利用によって活かすように、利用機会や使用頻度の低くなった着物を再利用させて新たな価値を創造する。また小樽観光では、運河はもとより手宮線、人力車、ボンネットバスなど既に当時の役割を終えたものが蘇り現在に共存している。まして縄文文化をライフスタイルとする人々もいる。過去を再利用する小樽モデルの様々なバリエーションが増えている。

オリジナリティ
「作品のオリジナリティは技術だけでは生まれませんよね。広い世界を見て洗練・先端などの選択肢がなければ閃きやイメージが湧いてきません。そういう意味ではBIBIでの10年間の修業のおかげだと感謝しています」

感動
「平成9年12月号の『月刊おたる』に掲載された私のリメイク記事をご覧になった読者から、娘の結婚式のウエディングドレスのオファーがきました。うれしかったですね。また着物地のリメイクでは第一人者であるヤスアカノ氏と知人の紹介でお会いできる機会に恵まれ、平成23年1月に大丸札幌店でヤスアカノ氏のファッションショーと同時開催の作品展に出品させていただきました。この経験は忘れてはいけないご恩として感謝しています。また、運河沿いの喫茶店小樽倶楽部さんで平成22年9月から毎年もーどゆきえ作品展を開催させていただいています」

太陽からの触発
 河原氏は既にご高齢である。札幌在住の姪御さんも河原氏の影響で着物のリメイクをされ、独自のワールドを創造しているが、心配はもーどゆきえの継承者が小樽にいないことだ。
 太陽が地球の生命体に光を与えてくれるおかげで我々人間も生きていられるが、そのためのみに太陽は燃えているわけではない。河原氏の作品に触発されて、いや河原氏に直接触れずとも、その熱を受けて独自のリメイク世界が小樽に誕生することを願わずにいられない。

もーどゆきえ
〒048-2672 小樽市塩谷3-33
TEL&FAX 0134-26-1551