小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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編集後記

歴史は繰り返す


 人は社会の中で生き、自ら抱く善に照らして、「このままではいけない。多くの人々が苦しむ。なんとかしなければ!」という問題意識から「志」を持ち、同調する者が集い組織をつくり社会改革に乗り出す。そこでこの運動を社会が受け入れ、多くの人々が苦しみから解放されて効果が目に見えてくるとしよう。人々は能動者の運動の成果を恩恵として受容するから、ここまでは能動者は人として尊敬に値する。ところがここで能動者に「優越感」「慢心」という気分が生まれ、「組織維持こそ成果維持」に変換、「組織維持のための保身」に固化する。一方受容者の中にも「組織は成果の象徴」に変換、「成果より組織に権威を感じる」に固化する。挙げ句の果てには、亡霊の「権威維持のために信頼を犠牲」にする。
 このように純粋な「志」から発生した運動が「権威」という亡霊に失墜する歴史を人間は繰り返してきた。「尊敬」で留まればいいものを「権威」に変換するから社会は進化しない。「歴史は繰り返す」という皮肉は人間が進化していないことにある。
 国は変幻自在の組織に補助金をつけるが、個人の志にこそつけてほしい。


歴史文化研究所
副代表理事・編集人 石井 伸和