小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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帰化人(57) 小樽こだわりのライフスタイル

過去が現在と共に生きている街
加地 幸広 氏
竃k海道銀行小樽支店 支店長
〒047-0032 小樽市稲穂2-8-9
TEL 0134-23-5111・FAX 0134-25-9481



帰化経緯
 加地氏は昭和34年に美唄市に生まれ、岩見沢東高校を経て昭和58年に福島大学経済学部を卒業後、北海道銀行に入行される。道銀では、豊岡、石山通、足寄、篠路、札幌駅北口、本店営業部、函館支店を経て平成21年南一条支店長、そして平成25年4月に小樽支店長として単身赴任された。独立されたお子様が2人おり、札幌には奥様が住まわれている。

第一印象
「これまで小樽には、子供時代に蘭島に海水浴で行き、社会人になってから数回程度観光客としてしか来たことがありませんでした。昨年3月31日に改めて小樽の土を踏んだとき、天気の良い日で石狩湾の対岸の暑寒別岳を目にし、なんという美しい景色かと感動しました。そして駅から賃貸の東雲のマンションへ歩く中、主に札幌勤務が長かったので、小樽の空気、匂い、時間の流れ方、人の歩き方、人々のマナーが全く違うと強く感じましたね」
「特に真冬の運転に慣れているせいか、狭くなった道を譲り合うマナーが徹底しているのには驚きますね。マナーが悪いのは小樽人ではないと断言してもいいくらいに惚れ込んでいます。そして時間がゆっくりと流れています。時間は世界共通に同じテンポで流れるものですが、なぜか小樽には、昔流行ったものがそこかしこに新たな価値をもって存在しているのです。明治のもの、大正のもの、昭和のもの、そして現在の流行にも敏感です。建物・ファッション・食品・乗り物に至るまで、過去と現在が混在していますよね。こんな街は実に珍しい。過去が生きているということでしょうかね。そういうやさしい風土が小樽にはあるのかもしれません。僕の目から見て、小樽への観光客は誰も共通してこういう小樽の風土に触れるために来ていると思っています」
 過去を生かすやさしい風土とは小樽人にとって、こんな嬉しい評価はないだろう。高度経済成長に乗り遅れたコンプレックスから脱皮して、乗り遅れたピンチを観光というチャンスに転換できたのは、加地氏のいうこの風土なのかもしれない。

小樽観光と仕事観
「観光を仕事柄、経済的視点で見てしまいます。観光は実に裾野の広い産業です。観光市場はすべてがアンテナショップともいえます。何が受けて何が受けないのかが計測できます。それはお土産という視点よりむしろ、観光客自身が欲しいか欲しくないかという一般市場と同じ計測できるからです。観光客が買うのはお土産の時代はもうとっくに過ぎています。そこから商品開発や製品化計画、あるいは新ビジネスモデルが発案され、製造業が生まれたり、六次産業化がコーディネートされたりすると、産業の層が厚くなっていきます。そういう議論や分析をどんどん小樽でしていきたいですね」
 やはり見る視点は卓見というしかない。小樽観光をそろそろ経済的に分析する段階とすれば、加地氏の登壇は頼もしい限りだ。

小樽経済と国際観
「道銀はロシアのウラジオストックと積極的にビジネスチャンスを広げようと努力しています。たとえば小樽を今一度物流港として復活したいと考えています。現在では国内の飼料のほとんどは輸入に依存していますが、最近では遺伝子組み換えが問題になっていたり、価格も高騰して酪農は厳しくなっています。ところが我々が支援しているウラジオストックでは、非組み換えで大豆やトウモロコシの生産が可能になり、価格も充分戦える設定が可能です。小樽港をなんとか飼料基地に復活できないかと考えています」
 こんな心強い港湾戦略を聞いたことがない。まして小樽はつい最近まで飼料基地だった実績とノウハウが蓄積されている。仕入れルートと販路がコーディネートできれば夢は叶う。