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観光学(5)  観光を読む

観光を核にした地域再生
北海道大学観光学高等研究センター 
  センター長・教授 石森 秀三



少子高齢化と地域経済
 経済産業省は2005(平成17)年に「二〇三〇年における地域経済規模予測」を公表しました。その予測によると、2030年頃に大都市圏と一部の地域(主として沖縄の各地域)を除いて、日本のほとんどの地域で経済規模の大幅な縮小が生じるとみなされています。少子高齢化が現実化するなかで、日本の各地域で顕著に経済的衰退が生じると危惧されているわけです。
 では、なぜ少子高齢化が進むと地域経済の規模が縮小するのでしょうか? その理由は簡単です。つまり、少子高齢化が進むと、その地域における生産力と消費力が衰えます。その結果、一つの地域における生産力と消費力の総和としての地域経済の規模が縮小するわけです。
 とくに北海道の各地域において、すでに少子高齢化が深刻な影響を及ぼしています。本州の各地域と比べると、北海道の各地域ではすでに10年前から少子高齢化が進んでおり、その結果として地域経済規模の縮小が生じています。2030年に地域経済規模の縮小が最も顕著に生じると予測されている20地域のうちの7地域が実は北海道の各地域です。そのため、2030年頃には北海道の各地域は今以上に厳しい経済的不振に陥る可能性が高いとみなされています。

国家的課題としての地域再生
 現在の日本ではすでに「地域再生」が国家的課題になっています。政府は2003(平成15)年に「地域再生本部」を設置するとともに、2005年には「地域再生法」を制定しています。
 政府はすでに地域主導による各種の地域再生事業を展開していますが、その多くは広い意味での「観光」にかかわる事業です。その理由は、日本のほとんどの地域で少子高齢化の影響によって定住人口の減少が生じると予測されており、地域再生を実現するためには「交流人口の拡大による地域活性化」が不可欠になるからです。その結果、観光を核にした地域再生事業が最も重要にならざるを得ないのです。
 今後、定住人口の減少化と高齢化が顕著になるので、交流人口の拡大を図ることによって、地域の活力を維持していくことが「地域経営の基本」になります。そういう意味で、各自治体が「観光立都」をスローガンにするのは当然のことです。ところが、医療や福祉や環境問題をはじめとして、重要な行政課題が山積しているために、観光立都に全力を投入できないのが厳しい現実でもあります。いわば「口先観光立都」に終わる危険性が大いにあります。

民産官学の協働
 今後の日本における「観光立国」や「観光立都」の成否を決するのは、観光分野における民産官学のコラボレーション(協働)の成否です。要するに、一人でも数多くの国民や市民が「観光によって日本の各地域の未来を拓く」という覚悟をもてるかどうかが、観光立国や観光立都の成否の鍵を握っている、と言って過言ではありません。
 短期的には「官主導による観光立国」は成果をうみだしますが、中長期的には「民産官学の協働による観光立国」が不可欠であり、そのための施策や事業の展開が求められています。
 従来の日本の各地域における観光振興は主として「官と産」が力を合わせて推進してきました。今後は歳月をかけて、民産官学の協働によって地域資源を持続可能なかたちで活用を図り、自律的に地域観光の振興を推進していく必要があります。
 観光分野における民産官学の協働がうまく図れる地域とうまく図れない地域で、将来において大きな差がつくと予測されています。