着地型観光の先駆け
有限会社 小樽観光ネットワーク
代表取締役 日下部 信正 氏
帰化経緯
1950(昭和25)年福岡県生まれの日下部氏は、父親の炭鉱会社勤務のため、北海道雨竜郡沼田町や福島県いわき市などを転々とし、立教大学観光科卒業後、東京の第一ホテルに勤務しました。
1991(平成3)年に赤井川にキロロリゾートがオープンする際に、転職して北海道移住に至ります。
キロロ勤務期間に旅行関係の資格を取得し、1999(平成11)年に独立、小樽観光ネットワークを設立します。
暑さが苦手な日下部氏にとって、札幌や千歳空港に近く、海あり山あり、そして歴史ある小樽が、すべての条件を備えていたことになります。逆にいうと、これだけの条件を備えている街は小樽しかなかったということです。
着地型観光
豊富な情報をもつ現地の人が観光プランを講じることを「着地型観光」といい、観光客のニーズを身近に把握する旅行会社などが観光プランを講じることを「発地型観光」といいます。
日下部氏は「着地型観光」を実施して既に16年が経過しています。最初は「受け入れ型観光」といった呼び方で、小樽に住む小樽フアンの一人として、同業他社との差別化をはかるために、小樽で初めて「着地型観光」を手がけました。
そして手がけたプランは、お客様はもちろんですが、大手旅行会社を通じて日下部氏に受入の依頼がくるようになってきています。
現在、居ャ樽観光ネットワークでは、小樽のお客様の発地型、大手旅行代理店からの受入着地型、自社での着地型がそれぞれ3分の1ずつという構成になっています。
様々な旅行体験を自らしてきた日下部氏は、「京都や奈良、東京のような遠すぎる歴史より、小樽のような身近で汗の跡がまだ遺るヒューマンな歴史の方が、心に残るんですよね。それは今の自分に照らし合わせる親近感を現場が与えてくれるからです。小樽観光は近代史が主流になっていることから、小樽にはその汗の結晶が豊かに生きているんです」といいます。
日下部氏は小樽に住処を見つけたと同時に、そこでの自らの使命まで見つけ、まさに天職にまで昇華させてきたといえます。
発地型と着地型観光
高度経済成長を遂げた1970年代、日本は観光に積極的になりますが、行ってみたい地域はいろいろあり、「どうせ行くならいいところをできるだけ見たい」というニーズが充満していました。しかも圧倒的多数の人々が共通にそう思っていたので、大型バスのマス観光が主流となり、いいとこどりの旅行プランを各地域で掲げることによって集客が可能でした。発地型観光が当然だったといえます。
それから既に40年が経過した今日、マス観光がパーソナルやプライベート観光に変化してきました。その背景には、インターネットの登場によって情報収集が簡単にできるようになったことがあげられます。
これからは深く知る現地の者の客観性と、何よりも、自ら楽しめるプラン、つまり着地型観光が主流になっていくことでしょう。
日下部氏がプランニングして現在売り出し中の「小樽老舗スイーツめぐり」をご紹介します。
あまとうのマロンコロン、花月堂のプリンどらやき、桑田屋のぱんじゅう、新倉屋の花園だんご、館のチーズスフレ、全部食べてなんと550円。歴史的街並みを楽しみながら、こんな贅沢をこんな価格で体験できます。
〒047-0028 小樽市相生町8番13号
TEL.0134-21-4000