小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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地域経済(3) 経済を読む

小樽の将来は中国・アジアと共に
小樽商科大学ビジネス創造センター 
センター長・教授 海老名 誠


香港の港
香港の港

ビジネスの視点
 本冊子で取り上げられる小樽の元気企業の多くは、売り上げの大半を小樽以外、北海道以外に求めています。やはり地元を超えて需要のあるところ、消費者の居るところに向けて商売をすることは何時の時代にも鉄則です。小樽は観光都市なので、小樽に来ないと買えない商品を扱うという商法の企業もありますが、その場合でも小樽の企業や製品が広く知られる事が先決です。そのためには広く需要のあるところ、消費者のいるところでPRしなければいけません。良いものをつくれば売れると、座して待っていては大きく伸びることは難しいのです。

小樽観光と中国
 北海道への観光客入り込み数は、この数年減少傾向にあります。海外からの観光客も、一昨年からのリーマンショックと円高によるダブルパンチを受けて減少しています。特にニセコを中心とする後志へのオーストラリア人観光客は激減しています。昨年の小樽への外国人観光客入り込み数は、これまで最大だった台湾や韓国が大幅に減少しました。しかし、中国や香港からの観光客は増えています。中国や香港も円高の影響を受け、北海道への旅行は割高ですが、それを上回って北海道を目指す中国人(香港も今は中国の一部になった)が増えています。アジアの中には昨年早くも景気が上向いた国も多く、特に中国の経済成長はこんな時代にも止まっていません。今年の世界経済は中国の経済成長に引きずられる形で徐々に上向いて行くでしょう。これからは中国を中心とするアジアからの観光客を如何に取り込んでいけるかが、北海道観光の活性化の成否を分けます。

中国ビジネスのギャップ
 中国は1979年から対外的に経済を開放し始めましたが、未だ様々な制限がある国です。
 例えば、中国に小樽の生鮮食品を輸出しようとしても、リンゴ、ナシそれに米の一部を除いては未だ自由化されていません。中国に進出した日本企業が、現地の通貨である元を調達しようにも、例えば日本の銀行から元で借り入れを行う事には制限があります。まして、資本取引は自由化されていないので、日本の投資家が中国の証券市場や債券市場で投資を行なうことは未だ出来ません。中国を相手とする取引は他の国よりも困難を伴う事が多いのです。それでも、急速に経済成長を続ける中国は、観光客の誘致面はもとより、貿易面も含めて小樽にとって重要な取引相手です。

香港華僑をパートナーに
 今後、中国をはじめとするアジアが小樽にとってビジネスチャンスをもたらす最大の相手国・地域ならば、それがどんなに困難であっても、我々は相手国の法制や規制を勉強して共存共栄を図るべきです。私はこれまで30年ほど中国やアジアと仕事をしてきましたが,いわゆる華僑との取引の鍵は、一にも二にも「信頼のネットワーク」です。例えば中国本土に、小樽から全くネットワークも無しに無手勝流で飛び込んで行って成功する筈がありません。中国人は顔も肌の色も日本人と似ているので、ア・ウンの呼吸で仕事が出来ると勘違いする方が多いですが、それは全くの間違いです。中国への足がかりは、中国の文化・考え方・商売の仕方に精通しつつも西側の仕事のルールにも通じているパートナーと組むことが求められます。その場合のパートナーとして、誰が適任なのか。私の長年の経験からいえば、それは香港の華僑です。香港人は長年英国自治領の下で、西側の商売を会得してきました。日本以上に契約をベースとした仕事をしています。しかし、香港人は人種的にはまぎれも無い中国人です。中国本土が近年急速な経済発展を遂げている背後に、香港華僑が果たした役割は大きく、従って、中国本土との取引を行う場合には、信頼のおける香港華僑と組む事がベストの選択です。同じような意味合いにおいて、台湾のビジネスマンと組むのも成功への近道です。