ミュージアム観光
小樽市総合博物館・運河館
本 館
〒047-0041 小樽市手宮1-3-6
TEL 0134-33-2523
運河館
〒047-0031 小樽市色内2-1-20
TEL 0134-22-1258
小樽市総合博物館は平成19年7月に小樽交通記念館の閉鎖に伴い、そこに小樽市青少年科学技術館と小樽市博物館の機能を統合して開設され、それまで小樽市博物館であった運河沿いの施設は「運河館」として運営されています。
この本館・運河館の両館運営の2年間で顕著になった傾向がうかがえます。本館は札幌近郊の子供を含む家族連れが、運河館はこれは従来からと同様ですが、本州からの観光客を含む大人が圧倒的に多いという傾向です。
本来、博物館は市民の生涯学習の拠点ですが、観光客が博物館に訪れるというニーズは極めて歓迎すべき現象といえるでしょう。
なぜなら、観光の本質はその地域に愛されたり、誇りとされている地域文化(光)を、他の地域から訪れて触れる(観る)ものであり、博物館はその宝庫だからです。
現在の小樽観光を概観してみると、観光客が密集する運河や堺町には市民の姿をあまり見かけることはありません。運河や堺町は小樽の歴史上極めて地域文化性が密集している地区ですので、観光客が運河館に行くのも運河や堺町に集まるのも必然といえますが、小樽人のための小樽観光といったものを考えてみると、その違いの中に、小樽人と観光客の交流する接点が見つかるかもしれません。
小樽市ではこの統合は組織統合であって施設統合ではなく、本館は科学・交通、運河館は歴史・自然とジャンル分けし、本館に講演やリファレンス部門を設置しました。したがって小樽独自の地域文化は運河館に集中し、それを観に観光客が訪れるという需要と供給が一致した形になっています。
しかしここでも運河館の市民利用は増加しているとはいえません。そこで博物館では、両館ともに様々な企画展を開催することによって、より多くの市民や観光客に新しい情報を提供する努力をしています。博物館では機能統合はしても、それぞれの館の特色を生かし、より多くの市民に運河館へ、大人の観光客に本館へきていただくよう取り組みは行っているようです。
観光地における学びの原点はその土地の博物館です。様々な観光拠点を回る前や回った後に博物館に行くと、より多くの疑問や問題が解決されます。
そして地域文化へのより深い疑問に応えるために、学芸員が存在しています。つまり博物館はスタディツーリズムの情報センターでもあります。
学芸員の話を聞いてみることも、賢く未知の土地を歩くひとつの方法かもしれません。
もったいない
小樽のある会社では、新入社員研修のプログラムに博物館で学芸員から小樽の歴史の話を聞くことを入れています。
また「おたる案内人」の資格取得者にも、外から来た知人に、自分独自の観光案内プログラムを用意し、必ず博物館へ案内して総括するという方もいます。
ある事例
たぶん観光客が博物館へ足を踏み入れる度合いは、今後ますます増えるでしょう。
私たち市民もこのような事例から博物館の有効性を知り、小樽の地域文化の特性を学ぶ必要を感じます。
公的な教育機関で採算性を問うことは本質的な議論とはいえません。問われるべきは情報提供機関としての利用頻度でしょう。しかし、歳入が多いことは歓迎すべきことです。因みに運河館の来場者の6〜7割が大人で入場料をいただけますが、本館の来場者はその逆で6〜7割が子供で入場無料になっています。これを歳入効率が悪いと見るのではなく、多くの子供たちに本物の歴史や科学の不思議に触れる機会を与えていると考えるべきでしょう。極めて安価な切符で、地域の様々な知識が得られるのです。もっともっと活用できたらと願うばかりです。