小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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編集後記


「脱 皮」
 若い時分からひねくれていました。
 サービス過剰で「づくし」が流行ったとき、それより「くずし」だろうといい、「キドリ」という鳥がファッション業界に舞ったとき、それより「ユトリ」だろうといい、「マニュアル」が人事で強調されたとき、それより「アニマル」だろうといい、「ファスト」が飲食業界を席巻(せっけん)したとき、それより「ファースト」だろうといってきました。
 「づくし」のおかげで過剰競争となり、「キドリ」のおかげで人間の中身が希薄になり、「マニュアル」のおかげで対応が呪文(じゅもん)化し、「ファスト」のおかげで農漁業が軽視されてきました。文化なき文明を追い、つまらぬ一場一席の俄(にわか)ごかしに惑わされてきただけです。
 いま「チェンジchange(変化)」が世界の標語のようになっていますが、それより「イマージemerge(脱皮)」だと思っています。
 人は他の人間になることなどできはしません。脱皮は他から見たら変化かもしれませんが、紛れもなく外に出ようとする本人です。緑の葉が散ることを覚悟して赤くなるように、母体から子が誕生するように、心の弱さが逆境と闘って強くなるように、痛みを覚悟して、自らの方向性への強い意志と修練によって脱皮するのです。
 「チェンジ」では軽過ぎます。なぜなら「依存」が強過ぎるからです。まして「脱依存」をテーマとする北海道には縁遠い標語です。
 世界の変化と時代の変化をシッカリと見て、そして歴史の変遷や体験から学んだことを、自らの中で噛み砕いて、ほんの少しのエキスをもって社会に向かって脱皮したいと思っています。


 歴史文化研究所 副代表理事・編集人 石井 伸和