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観光学(12) 観光を読む

新しい交付金制度への期待
北海道大学 観光学高等研究センター 
  センター長・教授 石森 秀三



コンクリートから人へ
 鳩山政権は昨年末に2010年度の政府予算案を閣議決定しました。民主党政権は「コンクリートから人へ」を公約に掲げたので、公共事業費の削減率は18.3%で過去最大になりました。来年度の公共事業費は約5兆7,700億円が計上されていますが、「コンクリート」を象徴する道路や港湾関係の予算は約25%削減、空港予算も約20%削減されています。一方で「人」に関連する社会保障費は9.8%増の約27兆2700億円に急膨張しています。
 北海道開発予算も大幅削減されています。来年度の北海道開発予算は総額4,857億円です。最も予算規模が大きかった1997年度当初予算は1兆59億円だったので、その
半分以下に減らされています。来年度予算は今年度比で17%減になります。とくに、ダム工事を含む治山治水事業は26%削減、道路整備事業は19%削減など、大幅に減額されています。

公共事業依存からの脱却
 北海道はこれまで公共事業への依存度が非常に高い地域として有名でした。そのために北海道開発予算の大幅削減は地域経済を冷え込ませ、失業を誘発することになるので非常に深刻であるといえます。
 鳩山首相はいうまでもなく北海道選出ですが、民主党政権は北海道を特別扱いしない方針であるために、今後は公共事業依存型地域経済からの脱却をより一層的確に推進していかねばなりません。要するに、民産官学の協働によって、それぞれの地域で叡智を結集して、より一層の創意工夫と自助努力を重ねて、公共事業に依存しない地域づくりを推進する必要があります。
 公共事業依存からの脱却はこれまでにも何度も何度も叫ばれ続けてきましたが、いまだに実現されていません。構造改革を推進した自民党による小泉政権の時代にも、北海道開発予算の削減が行われ、公共事業依存からの脱却が叫ばれましたが、有効な手立てが講じられないままに今日に至っています。
 民主党政権が誕生して「コンクリートから人へ」という大目標が掲げられたので、公共事業依存の脱却を本格化させなければ北海道の未来は暗いものにならざるを得ません。

社会資本整備総合交付金
 来年度の政府予算案で私が最も注目しているのは「社会資本整備総合交付金という新しい交付金制度です。従来の道路、河川、下水道などの公共事業への個別補助金をひとまとめにしたうえで、既存の交付金を統合して創設された新交付金制度です。
 社会資本整備総合交付金の予算規模は2兆2,000億円です。自治体の自由裁量で必要な公共事業に充てられるほかに、人材育成を含めたソフト事業にも活用可能な使い勝手の良い交付金制度です。北海道で使える社会資本整備総合交付金は総額で約783億円です。

地域資源を結び合わす観光
 北海道では今後、交流人口の拡大による地域活性化の創出が不可欠になります。そのさいにもっとも重要になるのは「地域資源を結び合わす観光」の振興です。地域のさまざまな資源を持続可能なかたちで活用して、農商工・観光連携、漁商工・観光連携、文化・観光連携、教育・観光連携、医療・観光連携などを推進していく際に、新たな地域法人として「地域観光マネジメント法人(仮称)」を立ち上げることが必要です。
このような地域法人は、資源を活用した新規事業の立ち上げや人材育成の拠点になるので、まさにソーシャル・キャピタル(社会的資本)としての役割を果たすことができます。
 来年度予算に計上されている社会資本整備総合交付金を地域観光マネジメント法人の創設経費として初期投資することによって、地域の未来を拓いていくことが必要不可欠な時代になっています。