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加工品(3) 後志でなにがつくられているの

燻製
有限会社 南保留太郎商店
  代表 南保 敬二 氏


にしんの燻製
にしんの燻製
鰊の燻製がはじまり
 木造の燻煙部屋の煙出し窓からチップの煙の香りが漂います。中に入ると、じっくりと燻された鰊や鮭が飴色に輝いています。今では、余市町でただ一軒となった燻製専門製造会社。ここでは本物の燻製のおいしさを追求しています。
 社名の由来は現代表の父親、留太郎氏の名前を社名としました。先代、留太郎氏は昭和24年、サハリン(旧樺太)から余市町へ引揚げてきました。当初は留太郎氏が魚を買いつけ、その魚を夫人が行商して回りました。その後、樺太で学んだ燻製作りの知識を生かし、燻製の製造をはじめました。
 当初の製品は鰊。昭和20年代後半は余市町の鰊漁も終盤を迎えた時代でしたが、それでも前浜には鰊が揚がり、良い原料を仕入れることができました。当時、この港町界隈には南保留太郎商店(南保商店)を皮切りに、次々に燻製屋が5軒ほどできたそうですが、現在も燻製専門に製造しているのは、南保商店だけとなりました。そして当時の鰊の燻製の製法と味は今も引き継がれています。

先代から引き継ぐ味
 現代表の南保敬二氏は先代の留太郎氏から引き継いで27年目。南保商店の燻製作りの製法は先代から教えられた「冷燻」。15℃〜30℃の低い温度の煙で燻します。冷燻は温度管理や長い燻煙時間など手間がかかる製法ですが、素材が熟成され、深い味わいとなります。長いものでは3ヶ月以上燻したり、寝かせたりを繰り返す製品もあるといいます。これまでの経験を積み重ねてやっと先代の味になりました。
 もう一つの味の決め手は「塩加減」に尽きます。燻す前の大事な工程は塩で充分に素材をしめ、その後塩を抜くことです。塩で水分を出し旨みを凝縮させます。
 今度はこの塩を抜くために水にさらします。塩の抜き加減で味が決まるといっても過言ではありません。最後の燻す工程がうまくいっても、この塩の抜き方次第では良い製品にはなりません。引き継いだ当時は、先代と同じように作ったつもりの製品も、常連客には「おやじの味と違う!」とよく言われたそうです。先代の作った燻製は素材の旨みがしっかりとして食べ飽きない味でした。その味が大好きだった敬二氏は、先代の製法を頑なに守り、味を引き継いでいるのです。

本当の燻製の味とは
 南保商店の原料は9割を余市周辺の地物で占めます。理由は地物で良い魚介類が揚がることと、自分の目で素材を確かめられることです。南保商店の燻製は保存料や添加物を使わないため、素材を吟味することも製品作りの重要なポイントとなります。本当の燻製は素材ごとにブレンドされたチップで燻され、その香りと素材の旨みを楽しむものと考えています。大量生産で作られた燻製はどれも同じような甘い味が多いのですが、手間ひまかけた南保商店の燻製はすべて素材の旨みがしっかりとしてます。この本物の味を知ったお客様が売上げの柱となっています。店舗での販売は町内と札幌を合わせた4店舗のみ、あとは個人のお客様への直売です。道内5割、道外5割が売上げの比率です。
 お客様が買い求める理由は安全で余計な味がしないということです。これは敬二氏が求めていることと全く一致しており、作り手の喜びとなっています。

これからの挑戦
 これまでは魚介類中心の製品作りでしたが、最近は豆腐の燻製も手掛け、人気になっています。これからは、燻製をキーワードにした食の提案として、惣菜にも挑戦したい、また余市、仁木は野菜や肉類も豊富なので、燻製の分野を広げていければといいます。しかし、製法だけは先代からの教えを守っていくそうです。