小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
bg_top

編集後記


 一年の四分の一である四ヶ月間、雪に埋もれた季節を過ぎ、3月下旬から4月にかけて、この街の人々は共通してどこかで解放感を抱きます。「やっと冬だね」とは聞きませんが「やっと春だね」とか「やっと暖かくなったね」という挨拶が飛び交います。
 車を運転するにも、歩いて出かけるにも、オックウさが冬と比べまるで違います。街を歩く人々の顔の角度、つまりウツムキ加減も冬とは違って軽くなり、人出も増えます。
 思えば北海道の植物は「5月の百花繚乱」といわれるように、「梅は咲いたか桜はまだかいな」などという悠長な季節的秩序がなく、一斉に咲き乱れます。この自然現象に即して自然の一つである人間も百花繚乱の列にしたがうのかもしれません。
 この一気呵成の開放感は貯めていたこと、耐えていたことが円熟しきった状態で露見したり、あるいはまるで雪という大人になだめすかされ、我慢していた未熟なワンパク小僧のようであったりします。この解放感満載の風情は、なんともいえない北海道らしさといえます。
 こんな毎年何の変哲もなく繰り返される出来事の中にこそ、きっと大事なものがあるように思えます。

歴史文化研究所
副代表理事・編集人 石井 伸和