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観光学(14) 観光を読む

新成長戦略と3K
北海道大学
観光学高等研究センター 
  センター長・教授 石森 秀三



3Kとはなにか
 1990年代に「3K」という言葉が流行ったことがあります。仕事が「きつい」「汚い」「危険」の意で、若年労働者が敬遠するブルーカラー系の勤務・労働条件の厳しい職業のことが意味されました。当時、日本では人手不足が顕著になり、政府は法律を改正して、日系人の就労を認めたことによって、3Kに従事する外国人労働者が急増しました。
 私は1990年代半ば頃に、「21世紀は3Kの時代になる」と予測しました。この場合の3Kは「環境」「健康」「観光」の意です。21世紀にはこれらの3Kが世界を動かす重要な要素になると予測しましたが、当時はほとんど注目されませんでした。「環境」と「健康」の重要性は容易に理解されましたが、「観光」の重要性はほとんどが理解されませんでした。そのために3Kの重要性が注目されなかったわけです。
 日本では長らく「観光で国が成り立つか?」「観光で地域が成り立つか?」「観光で人生が成り立つか?」と問われたさいに、観光はただ単なる「遊び」に過ぎないとみなされているために、国や地域や人生を成り立たせるほどの重要性がほとんどないとみなされてきました。

新成長戦略の基本方針
 そのような「観光」軽視の姿勢が政府によって劇的に改められました。政府は昨年12月末に新成長戦略の基本方針を閣議決定しましたが、その中核に据えられたのは「環境」「健康」「観光」の3Kでした。公共事業依存や市場原理主義を重視した自民党政権による旧来型の成長戦略とは異なって、民主党政権は3Kを中心にして百兆円を超える新たな需要創造を目指しています。日本では長らく「観光」が軽視され続けてきましたが、突然に新成長戦略の切り札の一つとして一挙にスポットライトを浴びたわけです。
 たしかに「観光」は単独でも重要ですが、今後の日本では「環境・観光連携」「健康・観光連携」という新しい観光連携事業こそが重要になります。要するに、観光は今後、地域のさまざまな資源を結び合わせて新しい需要や価値を生みだす役割を果たすことが期待されています。
 さらに、21世紀の日本では「環境」「健康」「観光」という3Kに加えて、「教育」「景観」「家族」「幸福」「感動」「国際」などの多重的な「K」が重要になります。各地域で「観光」を基軸にして、多様な「K」との連携を目指した観光事業の創造が必要になるわけです。

観光創造の重要性
 地域のさまざまな資源を結び合わせて、各種の観光連携事業の創造を図る必要があります。例えば、農商工・観光連携、文化・観光連携、教育・観光連携、健康・観光連携、医療・観光連携、環境・観光連携などのような多様な連携のあり方が考えられます。
 新しい観光連携事業を生みだすためには、「観光創造」を担える人材の育成こそが重要になります。北海道大学観光学高等研究センターは現在、公的資格としての「観光創造士」制度の設計を行っています。今年六月にはNPO法人観光創造アカデミーを創設して、「観光創造士」を認定するための仕組みづくりを急ぎます。
 観光創造士は各地の地域資源を持続可能なかたちで活用して、新規事業の立ち上げを行うことが期待されています。要するに観光創造士は「起業家」として活躍することが期待されているわけです。併せて、新たな地域法人として「地域観光マネジメント法人(仮称)」を立ち上げて、地域資源を結び合わせる各種事業の展開を図る必要があります。そのさいに観光創造士は新しい地域マネジメント法人のマネジャーとして活躍することが期待されています。
 いずれにしても、さまざまな地域資源を活用して観光創造を推進することによって、小樽観光の新しいステージを築く必要があります。