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地域経済(7) 経済を読む

発展を続けるアジア経済(4)
小樽商科大学
 ビジネス創造センター 
 センター長・教授 海老名 誠



中国の台頭
 今、中国が世界中の注目を集めています。中国は、今最も発展が力強いだけでなく、人口も多いので世界経済に与える影響も大きいのです。先進国は、もはや中国の様に高い経済成長を望めなくなってきました。先進国では、余程の新しい電化製品でも発明されない限り、生活に最低必要な物資は国民のほとんどに行き渡り、買い替え需要位しか期待出来なくなっています。その点、中国では、生活に便利な製品が行き渡るまで売れますので、言わば無尽蔵の需要があるといえます。

中国経済発展のマジック
 中国は、1979年末に「社会主義市場経済」という、独特の政治経済体制を宣言しました。政治は社会主義で、経済は市場経済ですと発表したのです。中国は今も実質共産党一党支配の国です。国民による総選挙はありません。今、軍部のデモ隊制圧が問題になっているタイでも、選挙で選ばれた与党が首相を出しています。日本では昨年政権が交代し、今年の夏に参議院の選挙があります。選挙で国の舵取りを行う代表者を選ぶのが、民主主義国です。
 一方、中国の経済運営は市場経済のルールに則り行うと宣言されました。さて、それまで社会主義の経済体制だった中国が、一挙に市場経済に変われるものでしょうか?
 社会主義の経済体制とは、要は政府が企業を所有し、生産高も値段も政府が決めるという体制です。一方、市場経済体制とは、経済活動は民間に行わせて、消費者が選んだ企業や製品が生き残って行くという体制です。
 中国は、一挙に全国の市場を開放するのではなく、当初は経済特別区(特区)と呼ばれる実験都市で、西側に窓を開いたのです。最初に特区に指定されたのは、深圳など5都市でした。私は、前職の銀行で初代深圳事務所長に任命されました。もう25年も前のことです。特区では、外国の企業を誘致するために、あらゆる優遇措置が採られました。進出外国企業は3年間法人税が免除され、信頼できる良質な労働者の斡旋や、事務所の賃貸借契約の世話もしてくれました。いわば、国を挙げて外国の企業誘致を行った訳です。面白いことに、香港は当時英国の自治領でしたから、香港企業は外国企業と位置づけられ、外資に与えられる優遇策を享受しました。そんなこともあり、香港の製造業はほとんど中国の特区へ移ったといわれています(昔、香港へ旅したことがある方はご記憶でしょうが、旧空港から市街地へ出る高速道路の両側にびっしりと立ち並ぶマンションのほぼすべては、玩具やホンコンフラワーの工場だったのです)。

中国のWTO加盟
 この様に、中国は外国の企業を国内に誘致して、その技術やノウハウを学び始めました。しかし、中国が世界と貿易を行うには、WTO(世界貿易機関)に加盟することがどうしても必要でした。実は、中国は早くからWTOに加盟申請をしていたのです。中国が実際にWTOに加盟できたのは2001年ですから、申請から15年もかかりました。
 加盟審査に時間がかかった一番の理由は、上に述べた様に、それまで社会主義体制だった中国が、本当にWTOのルールを遵守できるのかという点でした。WTOは現在153カ国・地域が加盟する世界的な機関ですが、全加盟国が守らなければいけないルールが定められています。その代表的なルールは最恵国待遇(MFN)と内国民待遇(NT)です。MFNと言うのは、(その国に進出してくる企業に)国籍によって差別してはいけないというルールです。NTというのは、その国の企業と外国の企業を差別してはいけないというルールです。これを本当に守れるかという点が焦点となって、15年の審査を経て、中国は2001年に国際社会の正式な仲間入りを果たしたのです。
(以下次号)