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地域経済(8) 経済を読む

発展を続けるアジア経済(5)
小樽商科大学
ビジネス創造センター 
  センター長・教授 海老名 誠



競争力が落ち続ける日本
 日本は今世界でどの程度の競争力を持っているのでしょうか。5月19日に今年の国際競争力世界ランキングが(※)IMDから発表されました。それによれば、日本は世界58カ国中27位です。昨年は17位でしたから、また大幅に順位を落としました。今年の特徴は、アジアのほとんどの国が日本より上だったことです。世界1位はシンガポール、2位は香港でした。台湾8位、マレーシア10位、中国18位、タイ26位でした。アジアで日本より下に評価されたのはインドネシア36位、フィリピン39位でした。最近は常に1位だったアメリカが今年は3位になりました。
 IMDの評価は「経済の状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ(社会基盤)」の4項目の総合で決まります。力強いアジアの経済発展が分かると同時に、日本はこのままではますます世界から取り残されてしまうことも明白になりました。日本が上位に入るのは、4項目の中で早々と整ったインフラだけです。

中国・アジアの経済成長
 同じく5月19日に、経済産業省から通商白書(2010)が発表されました。それによりますと、中国は2018年までに日本を上回る消費市場になるそうです。また、アジア全体の消費は日本の3倍になるそうです。前号で書きましたが、先進国では生活に必要な物資は大体行き渡ってしまいましたので、よほどの革新的な製品でも発明されない限り今後大きく消費が伸びることは難しいのです。その点、中国をはじめとする発展途上国では、日本では当たり前の家電製品などがほぼすべての世帯に行き渡るまで売れます。いわば無尽蔵にマーケットが増え続けるのです。
 中国は様々な批判を浴びながらも、改革開放以来常に高い経済成長を実現してきました。2001年にWTOに加盟し、世界との貿易を本格化してきました。今年の経済成長も10%を超えると見込まれています。実は中国の高い経済成長や大きな貿易総額の半分は外国企業が支えています。それだけ多くの外国企業が中国に進出し、輸出入をしているのです。長い間、日本の最大の貿易相手国はアメリカでした。しかし、今は中国が最大で、アジア全体ではアメリカの2・8倍にもなります。
 日本の優秀な製品はアジアにもっと売るべきですし、北海道の優良な農産水産品はアジアに輸出して外貨を稼ぐべきです。特に、アジアを回って調査してみると、北海道へのあこがれが強いことが確認できます。北海道の食料品は「安全・安心・優良・高価」と言う評判が定着しています。
 また、アジアで北海道は「清潔・安全・豊かな自然・清らかな空気/水・雪」というイメージが定着しています。アジア各国では、我々が当たり前と思っている北海道の自然環境などが高い評価を受けています。ジェトロ(日本貿易振興機構)の調査によれば、90年から2008年までの18年間に、アジアの中間所得層は6.2倍になりました。90年は日本でバブルがはじけた年なので、日本のサラリーマン所得などは、その後減少に転じたはずです。我が国がぼやぼやしている間に、アジアでは購買力が大きく伸びて来たのです。

もっとアジアとの交流を
 小樽の観光も例外ではありません。小樽の観光客入込数は年々減少しています。しかし、その中でアジアからの観光客入込数は増加基調です。国による順位の入れ替わりはあり、台湾や韓国が減少しましたが、中国本土や香港からの観光客は増加しました。政府は今年7月から中国人に対する訪日ビザの要件を緩和します。3月末に新千歳空港の国際線ターミナルもオープンしました。これからは、貿易と観光の両面でアジアとの交流を増やすことが大切です。 
(以下次号)

※IMD…スイス・ローザンヌに立地するヨーロッパトップレベルのビジネススクール。
正式名称はInternational institute for Management Development