小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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加工品(5) 後志でなにがつくられているの

トマトジュース
中野ファーム
園主 中野 勇 氏



中野ファームのロゴ
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中野ファーム
 初代は昭和初期より、余市で鰊漁と農業を営む半農半漁でした。しかし、鰊漁も時代とともに終盤をむか
え、二代目は昭和30年代、農業1本に絞り、現在地で野菜や燕麦などを生産していました。昭和50年代後半、三代目の現園主、勇氏になり差別化できる農業を模索していた時、ある農法との出合いが勇氏の農業を大きく変えていったのです。

永田農法
 ある時、「永田農法」を編み出した方が訪ねて来られ、この丘の地形や土質が永田農法に適しているとアドバイスをしてくれたのです。しかし、その当時、永田農法がどんなもので、どのように作物が生育するのかも分りませんでしたが、とにかく、この農法に適しているといわれるトマトを栽培することになりました。トマトジュースづくりは、この永田農法が原点となりました。
 永田農法とは永田照喜治氏が開発した方法で、「断食農法」「スパルタ農法」などともいわれています。この農法は、必要最低限の水や肥料を使って植物を極限状態に追い込み、植物本来の力を最大限に引き出すため栄養価が高いといわれています。
 トマトなどは糖度が上がり、濃い味になりますが、反面、通常の栽培に比べ水を少なく与えるため果実は小さめになり、収量は少なくなります。
 中野氏はこの農法でミニトマトを10年程栽培していたところ、ジュースに加工する話が持ち上がり、当初は1リットル瓶で年間3,000本位を生産していましたが、もっとインパクトのあるトマトジュースを作りたいという思いがあり、トマトの品種をミニトマトから「桃太郎」に切り替え、この農法で糖度を上げる栽培に取り組んできました。

水に沈むトマト?
 一般的なトマトの糖度は5〜7程度ですが、中野氏が栽培するトマトの糖度は9〜10にもなります。ミニトマトの品種以外で糖度を上げるのは手間もかかり難しい技術です。しかし、敢えてそれに挑戦するのは自分だけしか作れない、インパクトのあるトマトジュースを作りたいという強い思いからです。
 この永田農法という厳しい環境のなかで栽培するトマトは、水分の蒸発を防ごうと葉は萎れたように丸まり、また少しでも水分を吸収しようと、茎や果実にはうぶ毛をたくさんつけます。こうして育ったトマトは実がしまって比重が高くなり、果実は水に沈むようになります。通常の「桃太郎」より小さな果実になりますが、ずっしりとした質感のトマトになります。

「夕陽の丘」のラベル
「夕陽の丘」のラベル
究極のトマトジュース「夕陽の丘」
 このように手間をかけ完熟した段階で収穫し、ジュースに加工します。加工は余市町内の竃k王よいち。中野氏のトマトを熟知しているためトマト本来の良さを引き出すジュースに仕上げてくれます。こうして出来た製品が「夕陽の丘」です。1リットル瓶1本にトマトが約20個位使われ贅沢で濃厚な味わい、そしてトマトジュースの概念を変えてしまう逸品といっても過言ではありません。価格は1本2,500円。トマトジュースでこの価格は高いと誰もが思うところですが、生食用トマトは通常スーパーでは1個当たり100円〜120円しますので、1本にトマト約20個使用し、加工しているので、計算すると納得の価格です。

受注生産の農業
 製品は札幌の三越と町内の2店舗に出荷する他は、すべて本州へ出荷されます。中野氏のトマトジュースは春先までに1年間の受注量がほぼ決定します。その受注量によりトマトの作付面積を調整します。これにより売れ残りがなくなり、1年間の生産額が読めるようになるのです。しかも製品の販売価格を生産者自ら決めているので、青果の相場に左右されることなく農業を続けることができるのです。
 生産物に付加価値と差別化をプラスした中野氏の農業はこれからの農業の新たなヒントになるかもしれません。