小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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小樽巷文化考

「小樽散歩」



 ようやく雪もなくなり、気温も上がって、春の気配が感じられるようになってきました。

 小樽は散歩するのにたいへん適した街ではないでしょうか。札幌のような幾何学的な街並みだと、すっかり見通しが利いて、この道の先には何があるのだろうかという発見の妙味にとぼしい。マラソンなどでも一直線の道をひたすら走るのは心理的な負担が大きいといいます。小樽では「近くて遠いは田舎の道」を地でいっているようなところもあるし、反対に思わぬ近道を探し当てることもあって、なかなか楽しい。

 地図上でみると、便利な近道に見えても、実際に歩いてみるとそうでないこともあります。
 例えば、稲穂から石山町を経て錦町へ抜ける「浄応寺の坂」などは代表的です。小樽駅から手宮・梅ヶ枝町方面に行くのは、海に向かってせり出した石山を迂回する道路(バス道路)よりも、ずっと距離が短い。ところが、ここはおそらく小樽有数の急勾配の道で、なんと20%もあるので、上りはいうに及ばす、下りでもそれほど早く歩けません。以前、時間を計ってみましたが、バス道路を行くのと時間は変わらず、眺めがいい以外は、疲れるだけでした。とくに自転車では、体力の余っている人は別として、上りは押して行かざるを得ず、下りも恐ろしくてとても乗れたものではありません。

 のんびり歩いていると、いろいろと不思議なことにも出会うこともあります。それを図書館で調べるのもいいし、図書館のまわりに目を向けると、すぐそばに小樽公園があります。公園内にはツツジやサクラが多く、見事なシラカバ林もあって緑いっぱい。
 市役所本館や公会堂といった歴史的建造物や忠魂碑(今は「顕誠搭」というそうです)を見て歩くのもいいし、2月には、昨年11月号でご紹介した旧坂牛邸が、これも3月号でご紹介したNPO法人小樽ワークスの手で活用されるようになり、毎週末(金・土・日曜)に開館しています。

 街へ出ると、文学館や美術館があり、文学館で小林多喜二や伊藤 整に思いを馳せ(文学館の喫茶コーナー「JJカフェ」ではコーヒーなどが飲める)、小樽出身の画家中村善策の風景画や版画家一原有徳の作品を鑑賞できます。
 近くには多喜二が北海道拓殖銀行への通勤に利用した色内駅跡や手宮線跡の遊歩道もあって散策には事欠きません。
 まわりはかつての「銀行街」で、金融資料館となった日本銀行旧小樽支店や旧北海道拓殖銀行小樽支店など歴史的建造物の宝庫。最近では洒落た喫茶店なども増えてきて、ちょっと休憩するにも便利です。
 札幌ではこうはいきません。街を歩こうにも、あまりに広すぎて手がつけられない感じがします。南22条の市立中央図書館からして市街中心部とはいえないし(これは地価の高いところでは仕方ないともいえる)、例えばそこから北海道文学館のある中島公園までは3q。札幌芸術の森美術館や北海道立近代美術館はもっと離れています。
 札幌で思い浮かべる著名な作家といえば、石川啄木か有島武郎あたりでしょうが、啄木や有島がいたころの札幌の面影を見つけるのは相当難しい。
 道路のほぼすべてが直交しているので、やたらと信号が多く、当然ながら歩行者のタイミングには合わせていないので信号待ちが多い上、最近では歩車分離式になってますます待ち時間が増えてしまいました。札幌駅から大通まで、歩車分離式でない信号はたった1つしかありません。しかし、何といっても一番の難点は人が多すぎて、ゆっくり歩くのが難しいことです。
 もっとも、市街地のど真ん中に大通公園のような大きな公園があるのはうらやましく、札幌も大都市にしてはかなりよい街だと思いますが。

 こぢんまりとまとまった小樽の街は散歩するのにとても恵まれたところです。よほど天気の悪いとき以外は(雨の日はそれなりにしっとりとして別の表情があります)、一度ぶらぶら当てもなく歩いてみるのはどうでしょう。坂道も多いから健康にもよいです。